野菜の色素成分ファイトケミカルとは?赤・緑・黄・紫の健康機能
秋が深まり、山々や街路樹が鮮やかな紅葉で彩られる美しい季節となりました。
紅葉の黄色や赤といった「色」は、私たちの目を楽しませてくれます。
なぜ、植物は色を変えるのでしょうか?
その理由は、冬の厳しい環境を乗り越えるために、葉を落とす準備をしているからです。
まず、夏の間に葉の緑色を担っていた、光合成をするための葉緑素「クロロフィル」が分解されます。
すると、それまで隠れていた黄色や橙色のもとになる「カロテノイド」や、新たに合成される赤色や紫色のもとになる「アントシアニン」といった色素が表面に現れ、あの美しい景色を作り出します。
つまり、植物にとって色の変化は、生命維持に欠かせない重要な役割を担っているのです!
スーパーに並ぶ野菜の緑、赤、黄、紫といった鮮やかな色も、それぞれに野菜の生命維持に欠かせない意味があります。
そして、その成分こそが私たちの健康を維持するための「機能性成分」として役に立つのです。
こちらのコラムでは、野菜の「色」について、その科学的根拠を探っていきます。
野菜が自分を守るために作る色素成分「ファイトケミカル」
野菜や果物のカラフルな色は、そのほとんどが「ファイトケミカル(Phytochemicals)」と呼ばれる天然の化学物質によるものです。
「ファイト」はギリシャ語で「植物」という意味で、植物が紫外線や病原菌、害虫などから身を守るために作り出す自己防衛成分です。
代表的な色素と、その機能を見てみましょう。
◆赤・紫色の力:アントシアニンとリコピン
- アントシアニン(なす、紫キャベツ、ブルーベリーなど):
植物が紫外線から自身を守るために合成する色素です。体内の酸化を防ぐ強力な抗酸化作用を持ちます。特に、目の健康維持に役立つことが知られています。 - リコピン(トマト、スイカなど):
カロテノイドの一種で、体内で増えすぎると害になる活性酸素を除去する抗酸化力を持ちます。
加熱をしたり、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。

◆ 黄色・橙色の力:カロテノイド(β-カロテンなど)
- β-カロテン(にんじん、かぼちゃ、みかんなど):
体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を保って免疫機能の維持に役立ちます。 - ルテイン・ゼアキサンチン(ほうれんそう、とうもろこしなど):
目の網膜の中心部分で、物を見るのに重要な黄斑部に存在する主要な色素です。
強い光やブルーライトなどによるダメージから目を保護する働きをします。

◆ 緑色の力:クロロフィルとその他の成分
- クロロフィル(ほうれんそう、ブロッコリーなど):
光合成をするための色素です。体内の不要なものや有害なものを排出・解毒するデトックス効果や消臭作用があることでも知られています。 - イソチオシアネート(ブロッコリー、アブラナ科野菜):
アブラナ科の野菜に含まれる辛味成分です。体内の解毒酵素の活性化を助ける研究が進んでおり、多くの科学論文でも報告されています。

◆ 白の機能性:アリシンとケルセチン
- アリシン(にんにく、たまねぎ、ねぎなど):
独特の刺激臭を持つ硫黄化合物です。免疫力のサポートや、ビタミンB1の吸収促進による疲労回復に役立つことが期待されています。 - ケルセチン(たまねぎ、カリフラワーなど):
植物が持つ苦味や色素の成分群ポリフェノールの一種で、たまねぎの外皮に特に多いです。強力な抗酸化作用や、血液をサラサラにする働きが注目されています。

普段の野菜選びが変わる!「色」に秘められた科学と力
野菜の持つさまざまな色は、単なる見た目の要素ではなく、植物が進化の過程で獲得して厳しい環境を生き抜いてきた「野菜の生命の証」です。
そして、その色の多様性こそが私たちの健康を多くの面でサポートする「野菜の力」とも言えるでしょう。
普段何気なく手に取る野菜も、「色」の裏にある科学を知ると、見方が変わるはずです。
店頭で野菜を選ぶときは、ぜひ鮮やかな色に込められた力にも注目してみてください!
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