白米より低カロリー!中国で話題の「じゃがいも米」とは?栄養価と食べ方を解説
みなさんは「じゃがいも」を、主食として食べることを想像したことがありますか?
中国では、じゃがいものデンプンを加工して、お米のような粒状にした「じゃがいも米」が開発され、新しい主食として注目されています。
じゃがいも米は、白米よりも低カロリーで食物繊維が豊富、しかも、環境にやさしいという特徴を持っています。
この記事では、中国で話題の「じゃがいも米」の特徴、栄養価、そして私たちの食卓に並ぶ可能性について解説します。

じゃがいも米とは?お米そっくりの新しい主食
「じゃがいも」というと、どのような料理を思い浮かべますか?
ポテトサラダやフライドポテト、肉じゃがのように「おかず」や「野菜」として食べることがほとんどですよね。
実は、世界でも有数のじゃがいも生産国である中国では、じゃがいもをお米のようにして食べる技術が開発され、乾燥米のような形をした「じゃがいも米」として商品化されているのです!
「じゃがいも米」(中国語では「土豆米」)とは、じゃがいものデンプン構造を特別な技術で加工し、つなぎとなる材料と合わせて、お米の粒にそっくりな形に成型した加工食品です。
見た目は、普通のお米よりも少し黄色みがかっているのが特徴です。
じゃがいも米は、白米と比較して、生産性に優れているだけではなく、価格が手頃であり長期保存が可能です。また、新しい食感や味わいを楽しめるとして注目されています。
中国政府は2015年に「じゃがいも主食化戦略」をスタートさせ、米、小麦、とうもろこしに続く「第4の主食」としてじゃがいもを推進しています。

じゃがいも米が注目される2つの理由
じゃがいもが推進される理由は、2つあります。
①水が少なくても育つ!環境にやさしい栽培
農作物を育てる際に水を節約することは、環境面、経済面、そして作業効率の面で多くのメリットがあります。
米を1kg生産するためには、約2,500〜5,000リットルの水が必要なのに対して、じゃがいもは米の約30〜50%以下の水量で栽培が可能と言われています。
水不足が深刻化する地域において、乾燥に強くて少ない水で育つじゃがいもは、まさに「救世主」なのです。
②少ないエネルギーで大量生産が可能
じゃがいもは、痩せた土地でも育ちやすく、成長サイクルも短いため、とても優秀な作物です。
世界中の人口増加に対する、食糧安全保障の大切な切り札となります。

白米より低カロリー!じゃがいも米の栄養価を比較
ところで、私たちがよく食べる白米とじゃがいも米では、栄養の面でどのような違いがあるのでしょうか。
中国のじゃがいも米には、じゃがいものほかに、そば粉やとうもろこし粉などが混ぜられているものも多いようです。
白米と比較すると、じゃがいも米は脂肪や炭水化物(糖質)が低く、たんぱく質や食物繊維が多いのが特徴です。
まさに、主食を食べながら野菜の栄養も摂れるハイブリッドな食材なのです。
【100gあたりの栄養成分比較(目安)】
| 項目 | 白米(ご飯) | じゃがいも米 |
| エネルギー | 156 kcal | 120 kcal |
| たんぱく質 | 2.5 g | 2.1 g |
| 脂質 | 0.3 g | 0.2 g |
| 炭水化物 | 37.1 g | 27.6 g |
| 食物繊維 | 0.3 g | 1.5 g |
| カリウム | 29 mg | 180 mg |
※じゃがいも米の数値は、じゃがいもと白米を1:1で摂取したと仮定したシミュレーション値です。

日本でも食べられる?じゃがいも米の今後
実際に食べた方のレポートなどによると、炊き上がりの際にほのかにじゃがいもの香りがあり、食感は白米より少しモチモチ感が少なく、プリッとした弾力があるようです。
調理する際には、白米のように水につけておく時間は不要です。そのまま蒸したり、電子レンジで調理したりできるので、とても手軽です。
中国のじゃがいも米に関する取り組みは、食糧難や環境問題、健康志向という、現代の課題に対する一つの答えになっています。
「野菜=おかず」という当たり前にとらわれず、野菜を技術の力で「主食」に変えることができるんですね。
日本でも、米粉パンやカリフラワーライスなどが定着しつつあります。
近い将来、スーパーの食品コーナーに「じゃがいも米」が並ぶ日が来るかもしれませんね!
【参考文献】
- 人民網日本語版「中国、じゃがいもの主要食糧化に向けた戦略を始動へ」(2015)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
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