食文化がつくる、世界の野菜事情に迫る!
突然ですが、問題です!
日本国内で最も野菜摂取量が多いのは、どの都道府県でしょうか?
正解は、長野県です。
野菜科学研究会では、過去にも日本国内の野菜摂取量ランキングを紹介しましたが、長野県は堂々の一位でした。
それでは、世界各国の野菜消費量はどうなっているのでしょうか。
世界各国の食料事情は、国連食糧農業機関(FAO)が公開している「FAOSTAT」で見ることができます。
国内の野菜の生産量、輸出入量、貯蔵量などから野菜供給量を算出し、その国の人口で割ることで、国民1人に対し1日にどれくらいの野菜が供給されたかを計算できます。キャベツの芯など、廃棄される部分や、食べ残し部分などは考慮されません。
また、国民・健康栄養調査で用いている調査とは算出方法が異なるため数値は一致しませんが、国ごとの野菜事情を把握することができます。
2020年の各国の野菜供給量を見てみましょう。
もちろん、国によって食べられている野菜の種類や、野菜以外の食生活も大きく異なるため、厳密に比較することは難しいです。しかし、各国の食文化を紐解いていくことで、野菜摂取につながるヒントがありそうです!
野菜科学研究会では、各国の食文化を調査してみました!
「医食同源」中国の食文化
中華料理の特徴は、炒める調理法です。調味料・水分量・油のバランスが重要で、強火でさっと炒めます。中国の炒め物は、空心菜、チンゲン菜、ザーサイなどたくさんの野菜が使われています。
加熱することで、野菜のかさが減るのでたくさん食べることができます。
中国には、古くから「薬食同源」という考え方があります。体によい食材を日常的に食べて健康を保てば、特に薬など必要としないというという意味です。そこから、病気を治すのも日常の食事をするのも、健康を保つためには欠かせない、源は同じだという「医食同源」という造語がつくられました。
中国では、健康のために日頃から野菜を多く摂る文化があるようです。
韓国の野菜文化をつくる「キムチ」
韓国では、ほぼ毎食といっていいほど「キムチ」が出るそうです。
キムチは、トウガラシ・にんにくなどの香辛料で野菜を漬けたものです。
キムチといえば、昔は白菜が有名でした。最近では、ねぎやきゅうりやだいこんなど、さまざまな野菜でキムチをつくるようになっています。
季節や家庭の食習慣によって、キムチの種類は多様。キムチ文化から、韓国国内の野菜栽培が盛んになりました。国民の野菜摂取量増加にも影響がありそうですね。
また、副菜として、たくさんの野菜のおかずが並ぶのも韓国料理の特徴ですね!
国を挙げて野菜摂取拡大に取り組んだアメリカ
アメリカは、野菜摂取拡大に取り組んできました。
1980年と比較して、アメリカの年間野菜消費量は、一人あたり15kg以上増加しています。
野菜摂取拡大の取り組み内容は、食事ガイドラインの見直しや学校給食の改善など、食生活全体を改善する啓発活動。さらには、地域の農業支援など、国や地域を挙げて取り組みも積極的に行っています。
特にアメリカの若者は野菜摂取に対して意識が高く、20〜30代の多くが「健康のために野菜を摂取したい」と考えているそうです。
中国、韓国、アメリカと、各国の食文化から野菜摂取量を調査してみました。
野菜科学研究会では、今後の世界の野菜事情、動向にも注目していきます。
【参考文献】
FAOSTAT
https://www.fao.org/faostat/en/#data/FBS
独立行政法人農畜産業振興機構 米国における野菜消費の状況~日本の消費拡大の可能性を探る~
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1103_kaigaijoho.html