「ビーツ」で持久力がアップする?野菜のチカラで有酸素運動をサポート!
みなさんは、「ビーツ」という野菜をご存じですか?
鮮やかな赤紫色が特徴で、ウクライナを起源とする東ヨーロッパの伝統料理「ボルシチ」や、カフェのサラダ、スムージーなどでおなじみの野菜です。

最近では、ランニングやサイクリングに励む市民ランナーや、運動愛好家の間で、ビーツを搾ったジュースが「持久力を高める天然のサプリメント」として大きな注目を集めています。
その秘密は、ビーツに豊富に含まれる「硝酸塩」という成分にあります。体内に入った硝酸塩が血流をスムーズにし、運動時の持久力の目安となる「最大酸素摂取量(VO2max)」を高めてくれると期待されているのです。
「最大酸素摂取量」は、アスリートだけでなく私たちの健康にとっても非常に大切な指標です。1分間に体内に取り込める酸素の最大量を表し、この値が高いほど心肺機能が優れていることを示します。
全身に持久力がついて疲れにくくなるだけでなく、血流が促されることで日々のコンディションが整い、生活習慣病の予防や健康寿命を延ばすことにも深く関わっています。
私たちの健康機能や運動パフォーマンスを支えるビーツのチカラについて、世界各地の臨床試験を統合・分析した最新のメタアナリシス研究から解説します。

世界38件の臨床試験を徹底検証!ビーツジュースと持久力の関係
ビーツジュースの摂取が、運動時の最大酸素摂取量に与える影響を明らかにするため、世界各地の研究データを統合した質の高い分析(システマティックレビューおよびメタアナリシス)が行われました。
【研究の概要】
- 対象データ:世界各地で実施されたランダム化比較試験(RCT)38件、健康な成人計703人分
- 比較内容:
1.ビーツ摂取グループ:ビーツジュースやビーツ由来のサプリメントなどを摂取
2.比較グループ:硝酸塩を除いたビーツジュースなどのプラセボを摂取 - 評価方法:運動テスト時の「最大酸素摂取量(VO2max)」または「ピーク酸素摂取量(VO2peak)」を測定
実験結果:運動時の酸素摂取量がアップ!最も恩恵を受けるのは「市民ランナーや運動愛好家」
分析の結果、プラセボを飲んだグループと比較して、ビーツジュースを飲んだグループは最大酸素摂取量が有意に向上。さらにデータを詳しく分析すると、興味深い事実が明らかになりました!
①普段から運動を楽しむ「一般の愛好家」で最も高い効果
トレーニングレベル別にビーツの効果を比較したところ、対象者の運動習慣によって明確な違いが見られました。
| トレーニングレベル | ビーツによる効果 | 特徴・背景 |
|---|---|---|
| 一般の運動愛好家(市民ランナー、ジム通いなど) | 明確な改善(エビデンス確実性:高) | 血管や心肺機能に改善の余地があり、ビーツのサポート効果を最も実感しやすい |
| 定期的にトレーニングしている層 | 改善傾向あり | 一般愛好家に次いで、持久力向上の効果が確認された |
| エリート・トップアスリート | 有意な差なし | すでに極限まで心肺機能や血管が鍛え上げられているため、変化が出にくい |
「週末にランニングを楽しんでいる」「健康のためにジムに通っている」という市民ランナーやフィットネス愛好家こそ、ビーツの恩恵を一番受けやすいという嬉しい結果です。

②効果を高める「量」と「飲む期間」
- 摂取量:1回あたり6.4〜12.8 mmolの硝酸塩(一般的な濃縮ビーツショット1〜2本分相当)を含む摂取で、最も安定した効果が見られました。
- 期間:運動直前の「1回だけ」の摂取でも効果は見られましたが、「3日以上継続して摂取する」ことで、より確実で安定した持久力アップが確認されました。
※研究によって運動の種類や負荷、ジュースの濃縮度に違いがあるため、すべての人に同じ変化が現れるとは限らない点には留意が必要です。
なぜビーツで持久力が高まる?体内を満たす「一酸化窒素」のチカラ
ビーツが運動パフォーマンスを支える最大の理由は、豊富に含まれる「無機硝酸塩」にあります。
ビーツを食べたりジュースを飲んだりすると、口の中の細菌や体内の酵素によって、硝酸塩が「一酸化窒素(NO)」という物質に変換されます。この一酸化窒素が、体内で2つの重要な働きをしてくれます。
- 血管を広げて血流をスムーズにする
血管が拡張し、筋肉へ酸素や栄養を運ぶ血流がグッと促されます。息が上がるような運動時でも、全身への酸素供給がしっかり保たれます。
- 筋肉のエネルギー効率を高める(省エネ化)
一酸化窒素は筋肉を動かすエネルギー(ATP)の消費を抑える働きをします。つまり、「より少ない酸素で効率よく筋肉を動かせる」ようになるため、息切れや疲労感の軽減につながります。

毎日の食卓から手軽に!野菜のチカラでアクティブな毎日を
日本の食卓では、ビーツはまだ馴染みがない野菜かもしれません。「スーパーで見かけても、どう料理していいかわからない」という方も多いはずです。
生のビーツを一から調理するのが難しいときは、市販のカット野菜や、ビーツ入りのスムージーを活用するのもおすすめです。

野菜科学研究会の「ベジラボレシピ」でも、初めての方でも簡単に作れるビーツレシピをご紹介しています。
ぜひチェックしてみてくださいね!
▼ビーツとトマトで食卓を彩る! ボルシチ:ウクライナ
【引用文献】
Gang Qin, Sungmin Kim. Effects of beetroot juice supplementation on maximal oxygen uptake during aerobic exercise: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Nutrition, 13:1858216 (2026).
https://doi.org/10.3389/fnut.2026.1858216
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