子どもの野菜・果物不足を解消する鍵は?母親の食習慣と「食べさせ方」の影響を調査
子どもに「野菜や果物をしっかり食べてほしい」というのは、世界中の親に共通する願いです。
その鍵を握るのが、実は母親自身の食習慣。
母親が何をどれくらい食べているかが、子どもの食べ方に大きな影響を与えることが分かっています。
野菜科学研究会が注目する最新の研究でも、母親の摂取量や食事中の「声かけ」が、子どもの食生活にどう関わっているのかが、詳しく分析されています。

研究の方法
ポーランドの4〜10歳の子どもを持つ女性260名を対象に、以下の項目を調査しました。
- 母親の「食べさせ方」(どんなルールや工夫をしているか)
- 母親と子どもの「野菜・果物の量」(どれくらい食べているか)
結果
分析の結果、子どもの野菜・果物の摂取量には、母親の「自分自身の食習慣」と「食事の食べさせ方」の両方が深く関わっていることが分かりました。
①食べる習慣は「親子でリンク」する
調査の結果、母親が果物を多く食べていれば子どもも多く食べ(β=0.309)、野菜についても同様に強い相関が見られました(β=0.428)。
※β(ベータ)値は、1に近いほどその関係が強いことを示す統計学の数値です。特に野菜の数値が高く、母親の習慣が子どもに強く受け継がれていることが分かります。
②良い影響を与える「3つの働きかけ」
母親が行っていた働きかけの中で、子どもの野菜・果物の摂取量を増やしていたのは以下の3つでした。
- モニタリング:単に監視するのではなく、「今日は給食で何食べた?」と関心を持ったり、栄養バランスを一緒に考えたりするポジティブな見守りです。
- 関与:食事の準備などに子どもを参加させ、食への興味を引き出します。
- モデリング:母親自身が「おいしいね!」と楽しんで食べるお手本を示すことです。
逆に、「ご褒美(報酬)」として食べ物を使ったり、「なだめるため(感情調整)」に食事を与えたりすると、野菜の摂取量が少なくなる傾向が見られました。
ご褒美を提示することで、子どもにとって「野菜=お菓子のために我慢して食べる嫌なもの」という印象が強まってしまうからだと考えられます。

年齢で変わる「見守り方」のコツ
子どもの年齢によって、親の関わり方が与える影響に違いがあることも判明しました。
- 4〜6歳: 「ご褒美」や「なだめるための食事」をすると、野菜・果物の摂取量が大幅に減少(51.6〜65.5%減)してしまいます。
- 7〜10歳: 親が適切に食事内容を見守る(モニタリングする)ことで、野菜・果物の摂取量がなんと約4.1倍にまで増加することが分かりました。

本研究の結果は、子どもに健康的な食習慣を身につけさせるためには、まず母親自身が野菜や果物を楽しんで食べる姿を見せること(モデリング)が最も重要であることを示しています。
また、幼少期にはご褒美で気を引くことを避け、成長に合わせて「今日はこれを食べてみようか」と前向きに見守っていくことが、一生の健康をつくる鍵と言えそうです。
文化は違っても、親の背中を見て育つのは万国共通。
日本でも野菜や果物の摂取量は年々減少していますが、まずは私たち大人が「あと少し」の野菜を一緒に楽しむことから始めてみませんか?
出典)
Marzena Jeżewska-Zychowicz et al., Fruit and Vegetable Consumption in Mothers and Their Children Aged 4–10 and Its Relationship with Maternal Feeding Practices, Nutrients 2025, 17(6), 941.
DOI: 10.3390/nu17060941