「好き嫌い」や「少食」が、将来の食習慣を決める? スペインの幼児1,407人の大規模調査「CORALSコホート研究」が解明
幼児期は、生涯にわたる食習慣の基盤が形成されるとても大切な時期だと言えます。
この時期の子どもの「食べ方」、すなわち「食行動」は、将来の肥満リスクや健康状態にも深く関わっていることが、これまでの研究でもわかっています。
本記事では、スペインの3〜6歳児1,400名以上を対象に、個々の食行動特性が、実際の食事内容の質(野菜、果物、菓子類の摂取量など)にどう影響しているかを調査した大規模研究、「CORALSコホート研究」の成果をご紹介します。
研究の概要:3〜6歳児の食行動と食事内容を調査したCORALSコホート研究
本研究は、スペインの7都市で実施されている「CORALS研究」のデータを使って行われました。
対象は3〜6歳(平均年齢4.8歳)の子ども1,407名(男の子699名、女の子708名)です。
調査は以下の方法で行われました。
【調査方法】
・食行動の評価:保護者が、国際的な質問票(CEBQ)を用い、「食の楽しみ」「食へのこだわり」「満腹への反応」など8つの食行動の評価に回答しました。
・食事内容の調査:125項目からなる摂取頻度アンケートに基づき、過去1年間の野菜、果物、魚、菓子類など23の食品グループの摂取量を算出しました。
・分析方法:データを統計的に分析し、男女それぞれの特徴的な「食事パターン」を特定しました。

研究結果1:食行動特性と食事の質の関連
分析の結果、子どもの食行動の特徴と、実際の食事の質との間には明確な関連が見られました。
①「食の楽しみ」と健康的な食生活
「食の楽しみ(Enjoyment of Food)」のスコアが高い子どもは、男女ともに以下の傾向がありました。
- 摂取量が多いもの: 野菜、果物、魚、豆類、全粒穀物
- 摂取量が少ないもの: 菓子類、乳製デザート、調理済み食品
食を積極的に楽しむ特性は、栄養バランスの良い食生活を促進する強力な要因であることがわかりました。
②「食へのこだわり(偏食)」と食事バランスの偏り
「食へのこだわり(Food Fussiness)」のスコアが高い子どもには、これとは逆の傾向が見られました。
- 摂取量が多いもの: 菓子類
- 摂取量が少ないもの: 野菜、果物、魚、豆類
偏食は単なる好みの問題にとどまらず、食事の質を下げ、健康的な食習慣をさまたげる可能性があると考えられます。
③「満腹への反応性」と食事の多様性
「満腹への反応性(Satiety Responsiveness)」が高く、少量で満腹感を感じやすいタイプの子どもは、野菜や果物だけでなく、肉や魚の摂取量も少なくなる傾向がありました。
満腹サインに敏感であることは食べすぎを防ぐ良い面がありますが、食事の種類が偏りやすく、必要な栄養素が不足するリスクがあることがわかりました。

研究結果2:食行動が食事内容に与える性差
分析の結果、食行動が食事内容に与える影響に、男女で少しの違いが見られました。
- 男の子: 食べムラがある場合、お菓子や甘い飲み物、砂糖などの精製炭水化物を好む傾向が強く出ました。
- 女の子: 感情の変化によって食べる量が減るなど、気持ちの変化が食事制限に結びつきやすい傾向がありました。

本研究は、幼児期の食行動が食事の質を決定づける大切な要因であることを示しています。大切なのは、子ども一人ひとりの個性を理解することです。
野菜を食べないことを無理に叱るのではなく、「食を楽しむ姿勢」を育んだり、子どもの食行動の特性を理解したりすることが、結果的にバランスの良い食事につながります。
【引用論文】Maneschy, I., et al. (2026). Association between eating behaviours and food and beverage consumption in male and female children aged 3-6 years: The CORALS cohort. European Journal of Nutrition, 65:26. https://doi.org/10.1007/s00394-025-03848-x