種に込めた101年の想い。野菜不足を解決する品種改良の力

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私たちが毎日食べている、野菜の「はじまり」や「品種名」を考えたことはありますか?

2026年3月、都会のビルが立ち並ぶ「BLUE FRONT SHIBAURA」の一角で、アブラナ科野菜の先駆け、株式会社増田採種場によるPOP UPイベントが開催されました。

会場には、鉢植えの「プチヴェール®」や、畑を模したプランターに植えられた「ソフトケール」が並び、来場者がじょうろで水やりを楽しめるなど、五感で野菜を楽しめる空間が広がっていました。

私たち野菜科学研究会がこの場所で出会ったのは、「種」の力!
「種」が、現代人の野菜不足という難問を解決する鍵になるのです。

こちらの記事では、未来を切り拓く野菜のストーリーをご紹介します。

鉢植えの「プチヴェール®」

種に込められた「101年」の重みと危機

増田採種場は、大正時代から続く101年の歴史を持つ老舗の種苗メーカーです。

増田採種場にとって、種は単なる農産物ではありません。
100年以上の歳月をかけて磨き上げてきた、「美味しさと健康の可能性を最大化するための設計図」そのものです。

しかし、その「種」の生産が危機に瀕しています。

国内の土地不足により、種子生産は海外から買わないと足りなくなってしまう現状があります。

もし輸入が止まれば、野菜を育てることができず、食卓から野菜が消えてしまうかもしれません。さらに、地球温暖化の影響による受粉バチの減少など、環境維持も困難を極めています。

私たちが普段口にする野菜の原点をたどると、種の段階からの途方もない試行錯誤と、未来を守るための闘いがあるのです。

増田採種場の種

「一歩先の社会」を見据えた品種改良

普段、私たちがスーパーで野菜を選ぶとき、その「品種名」まで意識することは少ないかもしれません。

しかし、例えばキャベツ一つをとっても、実は世界中に何百種類もの品種が存在します。

一つひとつの品種には、生食での甘みを追求したもの、加熱した時の食感を重視したもの、あるいは特定の栄養素を高めたものなど、明確な「個性」があります。

それぞれの味や食感、機能性の違いを知ることで、日々の料理はもっと興味深く、豊かなものに変わるはずです」と、増田さんは語ります。

増田採種場が特に力を入れているのが、ケールから始まるアブラナ科の品種改良です。

代表格の「プチヴェール®」は、ケールと芽キャベツを交配させて誕生した品種ですが、従来の「ケール=苦い・食べにくい」というイメージを、品種の力で見事にアップデートしています。

取材の中で一番の驚いたのは、開発されたケールには「シュウ酸」がほとんど含まれていないという点でした!

シュウ酸は、野菜の「えぐみ」や「苦味」の主要な成分。これが抑えられているということは、単に美味しいだけでなく、下ゆでなしで生でも食べやすく、野菜が持つ栄養をダイレクトに摂取できることを意味します。

「体に良いから我慢して食べる」のではなく、「美味しいから毎日食べたい」という喜びこそが、健康な食習慣を続けるための最強のエンジンなのです。

増田採種場が特に力を入れている、ケールから始まるアブラナ科の品種改良

【実食】「美味しい」、「調理しやすい」から食べられる

併設カフェでは、プチヴェール®やソフトケールを使用した特別なメニューを体験しました。

  • 桜えびと増田採種場プチヴェールのマキアート(パスタ):
    静岡の特産品桜えびと合わせた一品。生パスタにはソフトケールのペーストが使用されており、鮮やかな緑色をしています。プチヴェールは驚くほど柔らかく、葉の食感はほうれん草以上に繊細で食べやすいものでした。
  • 増田採種場ケールのバナナパウンド
    「ソフトケール」を使用したケーキは、苦味が全くなく、バナナの甘みとしっとり調和していました。

お土産にいただいた増田採種場のケールを自宅で生のままサラダにしてみましたが、これまでのケールの概念を覆す食べやすさ!

「生」や「さっと炒める」だけで一品になる調理のしやすさもまた、現代の野菜不足を解消する重要なピースだと感じました。

プチヴェール®やソフトケールを使用した特別なメニュー

野菜摂取量を伸ばす「品種」の力

今回の取材を通して、「品種の個性を知ること」こそが野菜不足を解消する近道だということを確信しました。

どんなに栄養が豊富でも、美味しく、かつ調理しやすくなければ食卓には定着しません。消費者のニーズに応え、「食べやすさ」や「利便性」を種の段階から追求する取り組みは、国民の健康を支える大きな力になります。

『品種』という視点が、食卓を楽しくするきっかけになれば

増田さんのこの想いは、一粒の種を通じて私たちの健康な未来へと繋がっています。

次にスーパーの野菜売り場に立ったときは、ぜひ「品種」の文字を探してみてください。

その一文字の裏側にあるストーリーを知ったとき、いつもの野菜はもっと美味しく、あなたの食卓をより豊かに変えてくれるはずです!

増田採種場の専務の増田秀美さまへのインタビューもぜひご覧ください!

100年先の食卓を見据えて。「プチヴェールⓇ」「ソフトケール」を生んだ増田採種場が描く、品種開発の未来

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