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アブラナ科野菜の摂取と大腸がんリスクの関係:用量反応メタアナリシス

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大腸がんは、世界的に見ても診断されることが多いがんの一つで、がんによる死亡原因の第二位です。

大腸がんの発症リスクに大きく影響するといわれているのが、食生活。
中でも、ブロッコリーやキャベツに代表されるアブラナ科の野菜には、がんを予防する可能性を秘めた成分が含まれていることが知られています。

その注目の成分が、「グルコシノレート」です。

「グルコシノレート」は、野菜を調理したり食べたりすることで、「イソチオシアネート」という別の物質に変化します。
この「イソチオシアネート」が、がん細胞の増殖を抑えたり、体にとって有害な物質を排出するのを助けたりすることで、がんの発生を防ぐと考えられているのです。

これまでの研究でも、アブラナ科野菜を多く食べる人ほど大腸がんのリスクが低いことは報告されていました。
しかし、「具体的にどれくらいの量を食べれば、リスクがどの程度下がるのか」という詳細な関係性までは、はっきりとわかっていなかったのです。

ご紹介する研究では、過去に発表された複数の論文のデータを統合し、統計的に分析して、アブラナ科野菜の摂取量と大腸がんリスクの関係を、より明確にすることを目指しています。

アブラナ科野菜はどれくらい食べればいいのか?

分析では、2025年6月までに発表された17件の研究データ(対象者:合計97,595人)が集められました。

分析の結果、アブラナ科野菜の摂取量と大腸がんのリスクの間には、明確な「逆相関の関係」があることが改めて確認されました。
つまり、アブラナ科野菜を食べる量が多い人ほど、大腸がんになるリスクが低くなるということです。さらに興味深いことに、リスクを減らす効果は、食べる量に比例して無限に増え続けるわけではないことも明らかになりました。

具体的には、一日あたり20gの摂取でリスクが有意に低下し始め、40〜60gを摂取するとその効果はほぼ最大に到達します。
そして、一日の摂取量が40gを超えると、がんを予防する効果は頭打ちになる傾向が見られたのです。

私たちの食生活へのヒント

今回のメタ分析により、アブラナ科野菜を日々の食事に継続して取り入れることが、大腸がんの予防に役立つ可能性が示唆されました。

ブロッコリーやキャベツといった身近な野菜を食卓に積極的に加えることが、私たちの健康を維持するための一つの有効な手段となるかもしれません。

出典:Lai B. et al., Cruciferous vegetables intake and risk of colon cancer: a dose-response meta-analysis. BMC Gastroenterol. 2025 Aug 11;25(1):575. doi: 10.1186/s12876-025-04163-9.


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