
じゃがいもが食べられなくなるかもしれない!?じゃがいもの未来を考えよう
スーパーに並ぶじゃがいもには、いろいろな名前のものがありますよね。
コロッケのようなホクホクした食感の料理には男爵、肉じゃがのように煮崩れしたくないものにはメークインというように、じゃがいもの種類を使い分けている方もいるのではないでしょうか。
これまでも、野菜科学研究会ではじゃがいもの品種やおすすめの食べ方を紹介しています。
普段私たちが食べているじゃがいもが、いつか食べられなくなるかもしれない…、と言われたら、信じられますか?
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じゃがいもに何が起きている?
「シストセンチュウ」という寄生虫がいます。
これは、じゃがいもに寄生して根から栄養を吸収する生き物です。
シストセンチュウに寄生されたじゃがいもは、十分な栄養を吸収できなくなります。そのため、私たちが食べる部分である塊茎(かいけい)が大きく育たないなどの生育障害が起き、収穫量が半分程度にまで減ってしまうこともあるのです。
さらに、この寄生虫は土の中で10年以上も生き続けることができます。一度シストセンチュウの被害にあった農地では、次の年以降も被害が続いてしまうのです…!
シストセンチュウによる被害は、深刻です。
日本では、1972年に初めて見つかって以来、被害が拡大しています。今後、何も対策をしなければ、じゃがいも料理が食卓からなくなってしまう事態にもなりかねません。

じゃがいもの未来を守るには?
シストセンチュウは世界的に問題となっている害虫です。
では、一体どのような対策が進められているのでしょうか。
国が普及を進めているのが「シストセンチュウ抵抗性品種」です。これは、シストセンチュウの侵入や栄養吸収に対して抵抗力があるため、被害を受けにくい品種です。
具体的には、「さやか」「とうや」「キタアカリ」といった品種があります。
国や農家、じゃがいもを加工する企業などが連携して普及を進めていますが、抵抗性品種への切り替えはまだ十分ではありません。
その理由として、新しい品種が開発されてから一般的に栽培されるようになるまでに時間がかかることや、既存の品種に比べて貯蔵や加工をする上での使い勝手が劣ること、消費者にあまり知られていないことなどが挙げられます。
私たちにできることは限られているかもしれませんが、まずは私たちの身近な食材であるじゃがいもに何が起きているのかを知ることは大切です。
こちらの記事で紹介した品種はどれも色味や食感に魅力があるので、八百屋さんやスーパーの青果コーナーで見かけたら、ぜひ手に取ってみてください!
【引用文献】
植物防疫庁 ジャガイモシストセンチュウの解説https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/pestinfo/attach/attach/135/135-Gr.html
農畜産業振興機構 北海道におけるジャガイモシストセンチュウの発生状況と対応https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000587.html
ホクレン農業協同組合連合会 ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の普及拡大に向けてhttps://www.hokuren.or.jp/common/dat/agrpdf/2014_1006/1412563882550661727.pdf