
世界の企業は、みんなの健康をどう守っている?「Access to Nutrition Index(ATNI)」とは
コンビニやスーパーには、たくさんの食べ物や飲み物が並んでいます。
私たちは、自由に選んで購入していますが、そもそも「どんな商品を出すか」は、企業が決めているのを知っていましたか?
もし、企業が健康に良くない食品ばかり作っていたら、私たちも知らないうちに不健康な食生活になってしまうのです。
そのため、企業が「健康にいい食品を作ろう」と考え、行動することは、非常に大切なことなのです。
こちらの記事では、世界中の企業が健康についてどのくらい考えているかを調べた「ATNI(Access to Nutrition Index)」という仕組みについて紹介します!
ATNIとは? 企業の「健康への取り組み」を点数で見える化!

世界大手食品・飲料メーカーが、どれくらい健康を考えた食品を作って売っているかを、点数で評価しているランキングがあります。
オランダの非政府組織「Access to Nutrition Foundation(ATNF)」が作っている「ATNI(Access to Nutrition Index)」です。(*1)
2016年には、世界での総合的な売上額を基準に、22社が選出されました。
日本企業からは、味の素、明治、サントリーが選出されています。
栄養の質の評価には、オーストラリアで開発された「Health Star Rating(HSR)」という、栄養プロファイリングシステムが使われています。
果物や野菜など、食べることを推奨されている食品や栄養素が、消費者の健康にどれくらい良いかを、知ることができます。
HSRのデータを参考に、ATNIは、企業がより健康に良い商品をつくり、消費者の健康を考えた取り組みを進めることができるよう、指針を提供して改善を促進しています。
N4G Investor PledgeとESG投資で、健康を守る企業を応援しよう!

2021年12月、ATNFは「東京栄養サミット」の場に機関投資家を集め、「N4G Investor Pledge」を公表しました。
これは、世界の栄養危機の解決のため、企業とが積極的に行動すると約束する取り組みです。
また、企業はこの取り組みを、自社の社会的責任として進めています。
この取り組みに特に注目しているのが、ESG投資家たちです。
「ESG」とは、「Environment (環境)」、「Social(社会)」、「Governance(企業のルールや運営のしかた)」の頭文字をとった言葉です。
つまり、ただお金儲けだけを考えるのではなく、地球や社会のためにがんばっている企業を応援する投資なのです。
ESG投資家は、社会や環境のためになることを行っているのかを重視しているため、企業の栄養改善活動の強化は、投資先を決めるのに重要な判断基準の一つです。
企業が栄養改善を行い、持続可能な成長を目指すことは、社会的影響を与えるだけでなく、企業価値の向上にも繋がっています。
栄養に取り組む企業は、未来も明るい!

企業にとって、栄養改善は企業価値を高め、社会のためにもなるとても重要な「戦略」になっています。
企業が栄養に関連した課題に取り組むことで、消費者の健康を守るだけでなく、社会にも役立ち、さらに投資家からも応援されます。これは、企業の長期的な成功を導く要素となり、社会に対する貢献としても評価されるでしょう。
そのため、各企業は、ATNIやN4G Investor Pledgeのような仕組みを活用して、自社の取り組みを見える化し、評価されることが必要です。
企業が栄養改善を社会的責任と捉え、戦略の中心に置くことで
- 企業の競争力を高める
- ESG投資家に選ばれやすくなる
- 持続可能な未来への貢献
など、さまざまな利点があります。
また、私たち消費者も、より健康にいい食品を選べるようになります。
人にも企業にも社会にもいい、「三方よし」の取り組みですね。
最後に、ATNFが東京栄養サミットで公表した内容の引用を紹介します。
N4G investor Pledge(抄)
私たちは機関投資家として、世界的な栄養危機が生じていることを認識しています。 乱れた食生活および低栄養は、個人、社会、および経済に多大なコストをもたらすことから、飲食業界を中心とした幅広い業種で保有するポートフォリオ や資産価値に、短期・中期、そして長期的に影響を与え得ることになります。 責任ある投資家として栄養課題に取り組むことは、受益者に対する受託者責任と一貫し、投資家、企業および社会への相互利益がもたらされる行為で あると認識しています 私たちのエンゲージメントの目的は、食品・飲料会社が世界的な栄養問題に関連するビジネスリスクと影響を最小限に抑え、投資家の利益と社会への還 元を高めることです。 具体的には、各社が製品の栄養価を改善し、適切なラベル付け、価格設定、流通、販売促進、および広告を通じて、顧客が健康的な商品を選択すること を奨励することです。
参考
1.健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ オープンフォーラム2024
~産学官等連携で取り組む日本発の食環境づくり~「金融機関から見た栄養課題と本イニシアチブの意義」
https://sustainable-nutrition.mhlw.go.jp/wp/wp-content/uploads/2025/02/002.pdf
2.自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの 推進に向けた検討会 報告書 参考資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000911750.pdf
3.Access to Nutrition Initiative https://accesstonutrition.org/