食品ロスは、畑でも起きている!私たち消費者にできること
日本の食品ロス量は、農林水産省の推計では約523万トンと公表されています(令和3年度)。
523万トン…!
数字で見ても、すぐにピンとくるような量ではないくらいのロスが出ているのですね。
SDGsの浸透などにより、この数字は、一時期と比べると減少しています。それでも、まだ食べられる食糧が毎日、約1万5千トン捨てられていることになるのです。
この記事では、食品ロスについて考えてみます。
畑でも起きている食品ロス「圃場廃棄」
ここで言う食品ロスとは、本来食べられるにも関わらず捨てられてしまう食べ物のこと。事業者(食品の製造、小売り、外食事業者など)、又は家庭から廃棄されたもののみが集計されています。
しかし、実は、これ以外にも食べられるにもかかわらず農場で捨てられてしまう野菜があり、「圃場(ほじょう)廃棄」と呼ばれています。
農林水産省の統計では、収穫量と出荷量に分けて集計されていますが、その差を見てみると、何と約192万トン!(2017年)もあります。
もちろん、全てが廃棄されているわけではなく、一部は農家の自家消費となっていると思われますが、かなりの圃場廃棄量であることは間違いありません。
公表されている食品ロスの30%以上もの量の野菜が、折角生産されたにもかかわらず事業者・消費者の手に渡ることなく消えています。
また、果物でも同様に約27万トンが消えています。
畑で野菜が捨てられる理由
折角収穫された野菜たちは、なぜ、出荷されずに廃棄されるのでしょうか?
理由は、大きく二つあります。
一つ目は、豊作による供給過剰問題。
価格は、需要と供給のバランスで決まります。旬の野菜が豊作になった際、販売価格が下がってしまい、出荷するたびに赤字になってしまうことがあります。そのため、日持ちしない葉物野菜などは廃棄されることになります。
二つ目の理由は、出荷規格の存在です。
例えば、大きさや色・形の規格から外れた野菜は、美味しさが変わらなくても引き取ってもらえないか、引き取ってもらっても信じられないくらい安い値段で取引されてしまうため、農家さんも出荷する意欲がなくなり、廃棄されることになります。
私たち消費者がこの事実を知り、少しでも圃場廃棄を減らすためにできることに取り組むことが日本の農業を守り、食糧安全保障に繋がることを理解する必要があります。
例えば、旬の時期に供給が増える旬野菜を積極的に食べること。多少、野菜のサイズや形が整ってなくても積極的に購入すること。
出来る範囲で取り組むことで、少しずつ圃場廃棄を減らせたらいいですね。
※参考
循環とくらし No.10 第 2 部 食品ロスの現状と課題
発行年月日:2021年11月30日
編集・発行:一般社団法人 廃棄物資源循環学会