野菜のDNAを取り出してみよう!
DNAは、細胞の核の中に存在し、生き物の形や働きを決める設計図のような役割を果たしています。人も、動物も、植物も、野菜も、生き物はみんなこのDNAを持っています。
野菜のDNAを取り出す実験をしてみましょう!
難易度:レベル3 かかる日数:2日
用意するもの
・新鮮な野菜 (トマト、たまねぎ、ブロッコリーなど)
・包丁
・まな板
・すり鉢
・すり棒
・透明なプラスチックカップ
・割りばし
・濾し布
・中性台所用洗剤
・水
・食塩
・エタノール
手順
①玉ねぎとトマトは皮をむいて、刻んで冷凍しておく。ブロッコリーは花芽を刻んで冷凍しておく
②170gの水に30gの食塩を溶かして食塩水をつくり、ラップをかけて冷蔵庫で冷やしておく
③エタノールを冷凍庫で冷やしておく
④凍った野菜をすり鉢ですばやく擦りつぶす
⑤中性台所用洗剤小さじ1/2を入れて擦りまぜる
⑥食塩水を小さじ1杯いれてよく擦り混ぜ、濾し布でコップに濾し、野菜液をつくる
⑦野菜液と同量のエタノールをコップに注ぐ(深さ2cmほど)
⑧⑥のコップに、ゆっくりと割りばしをつたわせて注ぐ
⑨そのまましばらく静置して、糸状のものが現れるのを待つ
実験結果を考察しよう
野菜のDNAを取り出す原理を解説します。
DNAは細胞の核の中にあるため、普段は目に見えません。植物細胞は、固い細胞壁で覆われて守られているため、冷凍してすりつぶすことで、その細胞壁を破壊しました。
はじめに加えた台所用洗剤には、DNAを包んでいる核膜を溶かす役割があります。
次に加えた20%濃度の食塩水は、DNAとタンパク質を分離させます。エタノールは、水よりも軽い液体のため、同じ容器に入れると上からエタノール、水の2層に分かれます。
水にエタノールを静かに注ぐことで、エタノールの層にDNAの沈殿が浮かんでくるというしくみです。
DNAは二重らせん構造をしているのですが、光学顕微鏡では倍率が足りず見ることができません。
電子顕微鏡の一種、走査型顕微鏡を使ってDNAの二重らせん構造の写真撮影に世界で初めて成功したのはなんと日本人の研究者で、1991年に論文が発表されています!)。
最後に研究レポートに結果をまとめてみよう!
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〈参考〉
1)Sumire Inaga and others, SEM Images of DNA Double Helix and Nucleosomes Observed by Ultrahigh-Resolution Scanning Electron Microscopy, Journal of Electron Microscopy, V