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女性の野菜摂取とうつの関係について

女性の野菜摂取とうつの関係について

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近年、うつ病などのメンタル疾患に悩む方が増えています。

2017年の厚生労働省の調査では、こころの病気で治療を受けている方は、約290万人と推計されています。また、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年には、うつやうつ状態にあると回答した日本人の割合が約17%となったことが、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際比較調査により明らかになっています。

メンタル疾患の原因は人によって様々であり、対応方法にも個人差が大きいのですが、オーストラリアで調査された以下の研究では、野菜摂取量の多少がうつ病の発症に関係するかもしれない、という大変興味深い結果が得られています。

野菜の定義

この研究は、「食事を含むライフスタイル要因と女性の健康および幸福感との関連を調べること」を目的に、1973~1978年にオーストラリアで生まれた女性4,241人の参加者を対象に、2003年から調査を開始。2018年までの15年間追跡調査をして得られたデータを基に解析されました。

その結果、横断的分析では、1日2サービング(※1)以上の野菜摂取は、抑うつ症状のオッズ比(※2)を低下させており、1サービング以下の場合と比較して2~4サービングで17%、5サービング以上で21%低下していました。また、縦断的分析でも同様に、野菜の摂取量2~4サービングで抑うつ症状のオッズ比が15%、5サービング以上の場合は、19%低下していました。

※1サービングは約75g
※2オッズとは「見込み」のことで、ある事柄の起こる確率と起こらない確率の比のことです。オッズ比は、ある事柄の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計的な尺度です。

野菜に含まれるビタミン類や葉酸、抗酸化物質などの影響と推測されていますが、明確な理由は分かっていません。

ともあれ、不足しがちな野菜をあと1皿多く食べるための良い理由になりそうですね。

Putu Novi Arfirsta Dharmayani et al.,Fruit and vegetable consumption and depression symptoms in young women: results from 1973 to 1978 cohort of the Australian Longitudinal Study on Women’s Health,European Journal of Nutrition,2022,volume 61, pages 4167–4178

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35864339/

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