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スイカは「赤い宝石」だけじゃない!最新研究が解き明かす驚きの健康パワー

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夏の風物詩として親しまれてきた、スイカ!
暑い日には、瑞々しさや甘さが至福のひとときを運んでくれます。

しかし、スイカの魅力は、単なる美味しさだけではありません。

スイカは「果実的野菜」として分類されています。近年の学術文献では、スイカは、リコピンや食物繊維、ミネラルといった私たちの健康に役立つ成分が含まれていることが明らかになってきました。

こちらの記事では、2024年に発表された論文の内容を踏まえながら、スイカの新たな可能性を紹介していきます。

1. 赤い果肉に含まれる「リコピン」の効果

スイカの赤い果肉の主成分であるリコピンは、抗酸化作用を持つことで知られています。
リコピンの抗酸化能力は、体の酸化ストレスを軽減し、さまざまな生活習慣病の予防に繋がると考えられています。

また、スイカの果肉には「シトルリン」というアミノ酸も豊富に含まれています。
このシトルリンは、体内で一酸化窒素の生成を促進することで血管を拡張させ、血流を改善する働きがあります。

これにより、血圧上昇を抑える効果も期待できることから、高血圧予防としても注目されています。

2. スイカの皮は「食物繊維の宝庫」

「スイカの皮なんて、食べられないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、スイカの皮は、私たちの健康に欠かせない食物繊維を豊富に含んでいることが報告されています。

食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸の運動を活発にする働きがあります。これにより、腸内環境が整い、便秘の解消や免疫力の向上にも繋がると考えられています。

また、皮にもシトルリンが多く含まれているのです。

その他にも、スイカの皮にはビタミン、ミネラルが豊富に含まれていることがわかっています。
例えば、皮ごとミキサーにかけてジュースにするなどして摂取すれば、スイカの栄養成分をまるごと取り入れることができるのです。

3. スイカの種に豊富な「不飽和脂肪酸」とミネラルの力

スイカの種は、食べずに吐き出してしまう方がほとんどです。しかし、実は捨ててしまうのはもったいないことを知っていますか?

スイカの種には、リノール酸やオレイン酸という良質な不飽和脂肪酸が豊富に含まれているのです。不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減少させ、動脈硬化のリスクを低減する効果があるといわれているのです。

さらに、スイカの種はミネラルの宝庫でもあります。
特にマグネシウム、鉄、亜鉛などの重要なミネラルを豊富に含んでいることが分かっています。

スイカの「赤い果肉」だけを美味しいと感じてきた方は、皮や種にも素晴らしい栄養が含まれていることが分かると、スイカに対する見方が大きく変わるのではないでしょうか。

ぜひ、今年はスイカを「丸ごと」美味しく、味わってみてください!

 【参考】スイカの栄養成分値(可食部100gあたり)

栄養成分果肉(赤肉種、生)種(いり、味付け)
エネルギー (kcal)41550
水分 (g)89.63.5
たんぱく質 (g)0.628.3
脂質 (g)0.148.3
飽和脂肪酸 (g)0.037.97
一価不飽和脂肪酸 (g)0.0217.9
多価不飽和脂肪酸 (g)0.0422.5
炭水化物 (g)9.515.3
食物繊維総量 (g)0.38.0
マグネシウム (mg)11515
鉄 (mg)0.27.3
亜鉛 (mg)0.110.2

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
(注:スイカの種は「種実類」のいり、味付けの値を参照しています。)

参考文献

Parkash Meghwar et al., Nutritional benefits of bioactive compounds from watermelon: A comprehensive review. Food Bioscience, Volume 61, October 2024, 104609.

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