
ビタミンC濃度と新鮮な野菜・果物摂取量の低下がもたらす2型糖尿病患者の心血管リスク
皆さんの中に、「健康のために、ビタミンCのサプリメントを飲んでいる」という方がいるかもしれません。
ビタミンCは「抗酸化作用」という力を持っており、体内にたまる「酸化ストレス」から体を守ってくれる必要な栄養素です。
酸化ストレスとは、体内で細胞などがさびついたような状態になることで、さまざまな病気の原因になるといわれています。
2型糖尿病(T2D)になると、この酸化ストレスが体内にたまりやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの疾患にかかるリスクが高くなることが分かっています。
そこで、ビタミンCを摂取することが、糖尿病に対して良い影響があるのではないかと期待されてきました。
しかし、サプリメントなどで大量のビタミンCを摂る場合、期待されたほど心臓や血管の病気を予防する効果は確認されなかったのです。また、場合によっては、死亡リスクを高める可能性があるという報告もあります。
一方で、野菜や果実などの食事から、自然にビタミンCを摂っている人は、良い影響があることが分かってきました。

こちらの記事で紹介する研究では、研究開始前の6ヶ月間にビタミンCサプリメントを摂取していない2型糖尿病 (T2D) 患者を対象に、次の内容を検討しました。
・ビタミンCが足りない人の割合(有病率)
・ビタミンCの量と心血管疾患の関係
・新鮮な野菜と果物の摂取が、ビタミンCや心血管疾患の予防にどう影響しているか
その結果、2型糖尿病患者のうち、12.2%にビタミンC欠乏症が確認され、特に心血管疾患がある患者ほどビタミンCレベルが低いことが分かりました。
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また、新鮮な野菜や果物をよく食べている人は、ビタミンCレベルが高い結果も明らかになりました。新鮮な野菜や果物は、心血管疾患の予防に期待できる可能性も考えられます。

研究の結果、「サプリメントではなく、食事から摂るビタミンCの方がより効果的」であることが、改めて分かりました。
新鮮な野菜や果物を積極的に食べることは、酸化ストレスを軽減し、2型糖尿病患者にとって心血管疾患のリスクを低減させる大切な予防手段になると考えられます。
本研究は、大規模なサンプルサイズ、ビタミンサプリメントを除外した厳密な選定、および正確なビタミンC測定法に基づいており、結果の信頼性が高いことが強みです。
一方で、対照群が欠如している点や、「こうすると必ずこうなる」という因果関係はまだはっきりわかっていないため、今後、さらに詳しい研究が必要そうです。
Toffalini A et al., Association of low vitamin C concentrations and low consumption of fresh fruit and vegetables with cardiovascular disease in type 2 diabetes. BMC Nutr. 2025;11(1):68.