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モンゴル人の野菜ジュース摂取試験

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野菜ジュースには、健康効果があるのでしょうか?

一般的に野菜はカリウムを多く含み、カリウムにはナトリウムの排泄を促す働きがあることから、様々な健康効果が期待されています。

しかし、野菜の摂取量が少ない人々にとって、代替手段として野菜ジュースを飲むことは有効なのでしょうか。

本稿で紹介する研究は、野菜摂取量が少なく、やや過体重のモンゴル人を対象に、野菜ジュースの摂取が健康指標に及ぼす影響を評価した研究です。

モンゴルでは野菜生産に適した土地が少ないため、平均野菜摂取量は約184g/日と少なめです。

そのため、モンゴル人のメタボリックシンドロームの有病率は高く、成人の平均BMIは25.5に達します
25.0以上は過体重、30.0以上は肥満というWHOの基準に照らすと、モンゴルの人口の49.4%が過体重、または肥満に該当し、18.5%が肥満と分類されます。

このような現状を踏まえ、本研究では、ウランバートルに居住するBMI25以上の成人94名を対象に、以下の3群に無作為に割り当て、8週間の介入を行いました。

 ①対照群
 ②モニタリング群(2週間ごとに食事バイオマーカーと血圧をモニタリング)
 ③モニタリング+野菜ジュース群(上記に加えて、毎日野菜ジュースを摂取)

そして、介入前後の食事バイオマーカーとメタボリックシンドローム構成要素の変化を3群で比較しました。

その結果、モニタリング+野菜ジュース群は、対照群と比較して、皮膚カロテノイド濃度の上昇、尿中ナトリウム/カリウム比(Na/K比)の低下、ウエスト周囲径の減少3点に有意な改善が見られました。

一方、血圧、BMI、血中脂質(コレステロール、中性脂肪)、HbA1cといった指標には有意な変化は見られませんでした。

なお、本研究には季節をまたぐ時期に実施されたため、気温や食事内容の変動が介入効果に影響を与えた可能性があるという限界も指摘されています。

Erina Tamaru et al.,Effects of monitoring dietary biomarkers and providing vegetable juice on metabolic syndrome components in adults with an overweight or obese body mass index in Ulaanbaatar: a randomized controlled trial, Trials volume 26, Article number: 47 (2025), DOI: 10.1186/s13063-024-08712-7

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