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エチオピアにおける生鮮野菜と果物の寄生虫汚染:有病率、パターン、および予測因子に関する系統的レビューとメタアナリシス

エチオピアにおける生鮮野菜と果物の寄生虫汚染:有病率、パターン、および予測因子に関する系統的レビューとメタアナリシス

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生の農産物に寄生虫病原体が含まれる可能性に対し、食品安全に対する懸念が世界的に高まっています。

汚染された果物や野菜は、特に妊婦、幼児、免疫力が低下した個人などの脆弱な集団にとって、さまざまな寄生虫感染の原因となり、深刻な健康影響を及ぼす可能性があります。

こちらの記事では、複数の研究結果を統計的手法を用いて統合・分析し、全体的な傾向やリスク要因を明らかにする「メタアナリシス」を活用した研究を紹介します。

本メタアナリシスの目的は、エチオピアの地元市場で販売されている生の果物と野菜における寄生虫汚染の実態について、既存の証拠を体系的に評価・統合することです。

研究方法

MEDLINE/PubMed、EMBASE、Google Scholar、CINAHL、Cochrane library、Science Directのデータベースを用いて、公開および未公開の研究を徹底的に検索しました。
研究の選定にはPRISMAチェックリストを適用し、Microsoft Excel 2016を使用してデータを抽出。

含まれた研究の質はNewcastle – Ottawa Scaleを用いて評価し、STATAソフトウェア(バージョン14.0)を用いて、推定されたプールされた有病率(統合された有病率)を計算しました。
研究間の異質性は、分散の割合(I^2)およびP値を用いて評価しています。

研究結果

本メタアナリシスには、13の研究(合計3,769の果物と野菜のサンプル)が含まれました。

エチオピアにおける生の果物と野菜の、少なくとも1つの寄生虫による汚染のプールされた有病率は43.38%(95%信頼区間: 36.64–50.12%)でした。
最も高い汚染のプールされた有病率はオロミア地域で報告され、51.95%(95%信頼区間: 40.53–63.37%)でした。

これらの結果から、生の果物や野菜の寄生虫汚染が公衆衛生に与える影響は深刻であり、特に発展途上国においては、公衆衛生や臨床面での課題が大きいことが示されました。

また、本研究結果は、食品の安全性向上に向けた具体的な対策の必要性を示唆しています。

消費者は農産物を購入する際、衛生管理や展示方法の確認を徹底することが重要です。また、農民や販売者に対しては教育や訓練の強化を行うことで、寄生虫汚染のリスクを低減できる可能性があります。これらの対策を講じることで、安全な農産物の流通が促進され、公衆衛生の向上につながることが期待されます。

野菜は健康価値の高い食材である一方、国や地域によっては公衆衛生の観点から、生で食べることが推奨できない場合もあります。本研究の結果は、食品の安全性を世界的な視点で考え、適切な衛生管理を促進するきっかけとなりそうです。


Animaw Z, Melese A, Bedane D, et al. Prevalence, pattern and predictors of clinically important parasites contaminating raw vegetables and fruits in Ethiopia: a systematic review and meta-analysis. BMC Infect Dis. 2024;24(1):1146. Published 2024 Oct 12. doi:10.1186/s12879-024-10034-7

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