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親子の共同野菜調理が子供の心理的発達に与える影響

親子の共同野菜調理が子供の心理的発達に与える影響

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子どもが野菜を食べてくれない、と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

子供が野菜を嫌う理由として、苦い、無味、食感が苦手、などが挙げられます。
大人になるにつれて、野菜の苦手意識を克服することもありますが、健康のためには幼少期から野菜を適切に摂取してほしいものです。

味付けや調理の工夫で野菜を食べられるようにする方法もありますが、毎回そのための献立を考えるのも大変ですよね。

実は、とある方法で、子どもが野菜を食べてくれるようになるのです。
それは、親子で一緒に野菜を使った料理を作ること。それだけで、子どもの心理的発達と野菜摂取量が増えるという、驚きの効果が確認された調査研究があります。

こちらの記事では、調査研究の内容を詳しく紹介します。

本研究の対象は、3歳から12歳までの子どもを第一子にもつ親(n=793)です。

調査時点から1年間をさかのぼって以下の3つの群に分類し、それぞれの特徴を分析しました。

1.野菜料理の親子共同調理経験群(n=420)
2.野菜料理以外の親子共同調理経験群(n=133)
3.親子共同調理未経験群(n=240)


調査項目として、子どもの自己肯定感などの非認知能力を「心理的発達スコア」として評価しました。また、野菜料理の親子共同調理経験群では、洗う、切る、加熱する、味付けするなどの調理工程ごとに、子どもの関与度を評価し、心理的発達スコアの関連性を分析。

その結果、他の2群と比較して、野菜料理の親子共同調理経験群の子どもは、自己肯定感など全ての項目で高スコアに。特に、調理工程を子どもに任せると、子どもの積極的な行動などが増え、心理的発達スコアに良い影響があることが確認されました。

さらに、他の2群と比較して、野菜料理の親子共同調理経験群は、子どもの野菜摂取量が多い傾向があることも確認されています。

研究の結果から、親子で野菜料理をつくる経験は子どもの心理的発達に良いだけでなく、野菜摂取量を増やし、健康的な食生活に貢献できる可能性を示しています。

Mariko oe et al.,Effects of Parent-Child Collaborative Vegetable-Cooking on Psychological Development, Psychology , Vol.15 No.12, December 2024, https://doi.org/10.4236/psych.2024.1512106

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