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海藻の持つ健康特性と持続可能性

海藻の持つ健康特性と持続可能性

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みなさんは最近、海藻を食べていますか?

日本人の海藻消費量は年々減り続けており、ピークの1999年度と比較すると、現在は半減しています。
植物学上、海藻は「藻類」に入るので、野菜という位置づけではありませんが、食物繊維やミネラル類が豊富で、野菜として扱われることも多いのです。

実際、食事バランスガイドでは、海藻料理は副菜として野菜料理に分類されています。
海藻は、日本を含む東アジア、東南アジア諸国などで伝統的に食べられてきましたが、最近では欧米でもヘルシーなダイエット食として人気を集めています。

海藻は英語だと「seaweed」がよく使われますが、食用の海藻については「sea vegetables」が使われることも増えています。

野菜科学研究会では、海藻の持つ健康特性と持続可能性にフォーカスした文献を紹介します。

海藻類は、海だけでなく川、湖等の水域でも生育する藻類のグループです。

海藻は色に基づいて、褐色(褐藻類)、赤色(紅藻類)、または緑色(緑藻類)に分類できます。
世界中で、少なくとも145 種の大型藻類が、食用として消費されていることが確認されています。

世界の主要な海藻の生産・消費国は、中国、日本、韓国、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナムの7か国です。

海藻類は、ビタミン、ミネラル、アミノ酸が多く含まれ、栄養豊富な食品と位置付けられています。さらにカロリーが低く、多糖類、ポリフェノール、オメガ3脂肪酸などのユニークな生理活性化合物も豊富に含まれている食品です。これらの成分には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用を示すものも確認されています。

また、海藻に含まれる多糖類は、工業的にも広く利用されています。キシラン、寒天、カラギーナン、アルギン酸塩等は、アイスクリーム、ヨーグルト、キャンディー、肉製品、飲料などのさまざまな食品の清澄化剤、ゲル化剤、乳化剤、安定剤、増粘剤、凝集剤として食品業界で無くてはならない存在です。

海藻の栽培は、種子、肥料、農薬、淡水、耕作地を必要とせず、費用対効果に優れています。さらに、海藻類は、水生生態系から余分な栄養素を吸収することでバイオフィルターとして機能し、沿岸水生システムの環境持続可能性を促進するなど環境にも優しい食糧生産システムを構築できるのです。

海藻はその栄養学的特性と持続可能な生産特性から、食糧安全保障を達成し、世界的に潜在的な代替食糧源と見なすことができますね。

Dibya Jyoti Mukhia et al.,Sea Vegetables: An Alternative Food Source: A Review,

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