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持続可能な方法で栽培された小松菜の環境への影響と消費者の嗜好

持続可能な方法で栽培された小松菜の環境への影響と消費者の嗜好

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近年、日本国内で持続可能な農業への関心が高まっています。
しかし、野菜作付面積の中で持続可能な方法で栽培されているのは、全体の1%未満にとどまっているのです。

環境に優しい農法として、有機農法や低投入農法があります。低投入農法では、化学肥料や殺虫剤の使用を大幅に削減することを目指しています。

野菜科学研究会が紹介する研究では、小松菜を用いて、栽培方法の温室効果ガス排出量を比較しました。その結果、有機農業の面積当たり(196.7 kg CO 2 -eq/10 a/年)および収穫量あたり(72.3 kg CO 2 -eq/t/年)の温室効果ガス排出量は、低投入農業(322.6 kg CO 2 -eq/10 a/年、120.7 kg CO 2 -eq/t/年)および従来型農業(594.0 kg CO 2 -eq/10 a/年、220.7 kg CO 2 -eq/t/年)よりも少なく、有機農法が最も排出量が少ないことを明らかにしました。

また、価格、肥料使用、農薬使用、原産地の属性に基づき、選択ベースコンジョイント分析を使用して限界支払意思額(MWTP)を推定。

実験の結果、消費者が最も惹かれたのは無農薬製品で、次いで有機肥料で栽培された小松菜。
季節外れの方は、環境に優しい製品が好まれる傾向がありました。

持続可能な農業には、低投入農業などの環境に優しい新しい農業システムを開発することが重要なようです。これらの習慣は、環境負荷を軽減しつつ有機農業への移行を可能にし、従来の農産物よりも高い小売価格を実現してくれます。

また、低投入農産物の市場を拡大するためには、農場での詳細な処理や季節情報を広めるための効果的な消費者コミュニケーションツールを開発することが重要と考えらています。

【引用文献】
Seo Y et al., Environmental impacts and consumer preference for sustainably cultivated Japanese mustard spinach, komatsuna. J Environ Manage. 2019 Feb 1;231:364-369. doi: 10.1016/j.jenvman.2018.10.077. Epub 2018 Oct 24. PMID: 30368145.

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