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栽培品種と貯蔵温度による完熟緑トマトの非同期熟成パターンのモデル化

栽培品種と貯蔵温度による完熟緑トマトの非同期熟成パターンのモデル化

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トマトは、私たちの食卓に欠かせない身近な野菜のひとつです。

栄養価や風味、見た目などは、「熟成」によって決まります。しかし、熟成を適切に管理することは容易ではありません。

千葉大学で行われた最近の研究では、収穫後のトマトの熟成パターンを予測する新しいモデルが開発されました。このモデルによって、貯蔵温度とトマトの品種に基づいて、熟成過程を予測することができます。

この研究では、異なる貯蔵温度(12°C、15°C、20°C、25°C、30°C)と異なるトマトの品種(ミラクル、麗月、桃太郎ヨーク)を用いて、トマトの熟成パターンを調査しました。具体的には、赤色の発色を示すCIE a*値を測定し、シグモイド型関数モデルを用いて、貯蔵期間に基づく熟成予測モデルを構築。

この研究による主要な発見は、以下の3点です。

① 赤色になるタイミング

高温での貯蔵は色の変化を早めます。
例えば、12°Cでは赤色発色の開始が23日後であったのに対し、25°Cでは6日後でした。

② 品種ごとの違い

品種によって熟成速度が異なることが分かりました。
ミラクルは最も早く赤色発色を開始しましたが、麗月と桃太郎ヨークは遅めでした。

③ 高温の影響

30°Cでの貯蔵では、赤色発色が遅れる傾向があり、完全に赤くなるまでの期間も長くなりました。

このモデルを使用することで、トマトの熟成を管理し、適切なタイミングで市場に出すことができます。食品ロスを減らし、消費者に最適な状態のトマトを届けることにつながります。

また、異なる消費者の好みに応じた熟成段階のトマトを提供することもできるようになりそうですね。


Ciptaningtyas D et al., Modeling the metachronous ripening pattern of mature green tomato as affected by cultivar and storage temperature. Sci Rep. 2022 May 17;12(1):8241. doi: 10.1038/s41598-022-12219-z.

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