学術情報

ミールキットのサブスクリプションサービスは、家族の野菜摂取量を改善する

この記事をシェアする

「ミールキット」を知っていますか?

ミールキットとは、一食分の食材や調味料、レシピなどを一式セットにした、調理を簡便化するキットのことです。

近年、ミールキットは、日本だけでなく世界中で市場規模が拡大しています。その背景には、共働き世帯が増えたことがあります。

例えば、こんな経験はありませんか?

・仕事から帰宅し、夕食をつくらないといけないけれど、疲れているのでできるだけ手間は省きたい。
・買物をする時間も惜しいし、献立を考えたり下ごしらえしたりする時間も省きたい。
・忙しいけれど、子供のためにも出来合いの総菜・レトルト食品・冷凍食品はできるだけ避けたい。

ミールキットは、そんな忙しい人たちのニーズにこたえるもので、料理の手間・時間省略と手づくり志向との両立ができる点が評価されているのです。

今回、野菜科学研究会で紹介する文献では、オーストラリアで提供されているミールキット定期購入のレシピを分析し、野菜摂取にどのように影響を与えるかを調べたものです。

オーストラリアでは、子どもは1日2.5~4.5サービング(SV)(約188g~338g)、大人は1日5SV(約375g)の野菜を摂取することが推奨されています。しかし、現実の摂取量は、子どもは1日あたり 2.0SV未満、大人でも1日あたり約3.0SVの野菜量しか摂取しておらず、国内では問題になっています。

オーストラリアでは、野菜は主に夕食で摂取されるため、家庭の食事環境は、野菜摂取量に大きく影響を与えます。最近、オーストラリアで普及しつつあるミールキットの定期購入サービス(MKSS)は、家庭での食事内容に影響を与え、家族の野菜摂取をサポートし、食事の質を向上させる可能性があるのです。

オーストラリアで提供されているMKSS の野菜の量と種類を調査することで、家族の野菜摂取を改善する可能性を評価しました。

入手可能な9つのMKSSについて、1週間に提供されるレシピのうち、野菜の量と種類の把握が可能な179のレシピについて分析を実施。その結果、1人1食あたりの野菜のサービング数の中央値は2.5SVで、提供サービスごとにみると平均で2.0~3.2SVの範囲に分布していたのです。

また、全レシピのうち32%がベジタリアンやビーガン向けとなっていましたが、38%は1人あたりの野菜摂取量が2.0SV未満でした。

文献より、より多くの種類の野菜を含むレシピを選択すれば、MKSSが家族の野菜摂取をサポートする可能性があることを示唆しています。

今回の調査では、MKSSが実践的な経験を通じて、家族の食事供給と食事行動に影響を与える可能性があることを示しています。この研究で記録された食事の種類の多様性は、食事提供者の自信と自己効力感を高めます。

さまざまな料理や食品を準備することで、食事のレパートリーを増やす可能性があります。

Kylie Fraser et al.,Meal kit subscription services and opportunities to improve family vegetable consumption, Health Promotion International, Volume 38, Issue 6, December 2023, daad155, https://doi.org/10.1093/heapro/daad155

公式SNS
フォローしてね

このサイトをシェアする