学術情報
血中カロテノイドの濃度が高いと認知症のリスクは下がる

血中カロテノイドの濃度が高いと認知症のリスクを下げる

この記事をシェアする

これまでの動物実験や疫学研究の結果からは、抗酸化物質(β-カロテン、ビタミンA、C、及びEなど)の摂取が、活性酸素の減少を通じてDNA損傷を軽減する可能性があることを示しています。

つまりこれらの抗酸化物質の摂取は、認知機能の低下を含む神経変性から保護してくれる可能性があります。

本研究は、アメリカ国民を対象に実施された第3回国民健康栄養調査(1988–1994)のデータと、その後平均16~17年の追跡調査結果を利用して、血清カロテノイド類とアルツハイマー型認知症の発症リスクとの関係を調査しました。

対象者は調査開始時45〜90歳の7,283人です。

血中濃度を測定した抗酸化物質は、ビタミンA、C、及びEと、カロテノイド類でした。血液検査の結果から濃度が高い群、中程度の群、低い群の3群に分けられました。
また、追跡期間中982名がアルツハイマー型認知症を発症しました。

その結果、カロテノイド類のうちルテイン・ゼアキサンチンの血中濃度が高い群では、低い群と比べてアルツハイマー型認知症の発症リスクが低いことが示されました。

ルテイン・ゼアキサンチンはホウレンソウやブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。

なお、今回の研究は、調査時の1回の血液検査のデータのみに基づくものであり、生涯にわたる血中抗酸化物質の濃度が反映されたものではないことに注意が必要です。

【出典】
May A. Beydoun et al., Association of Serum Antioxidant Vitamins and Carotenoids With Incident Alzheimer Disease and All-Cause Dementia Among US Adults,Neurology, 2022 ,98(21), e2150–e2162

公式SNS
フォローしてね

このサイトをシェアする