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野菜の冷凍技術の最新動向

野菜の冷凍技術の最新動向

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野菜保存時に品質劣化が進む理由は、収穫後も呼吸・蒸散などの活動が続くことと微生物の繁殖による部分に大きくあります。

冷凍保存であれば、これらの進行を止めることができ、より長期間保存することが可能です。ただし、野菜を冷凍すると、解凍した後にドリップが起きたり、食感が変わって風味に影響を与えることがあるのです。

こちらの記事では、これらの課題を解決する新しい冷凍技術を紹介します。

野菜の保存法として、冷凍は栄養保持と感覚特性の維持の点で、他の技術と比較して優れた方法です。
しかし、野菜の種類によっては冷凍と解凍に伴ういくつかの物理的および組織的な変化が起こるため、品質に重大な問題を引き起こします。

これは野菜を冷凍する場合、細胞内の水分が凍結して氷になると体積が膨張するために細胞を破壊したり空隙をつくることで発生します。こうした野菜を解凍すると、細胞は破壊されたまま元に戻らないため、ドリップが発生したり、食感の悪化に繋がります。

冷凍時の野菜の品質は、氷の結晶のサイズと分布に依存しています。結晶サイズが大きく、組織中に不均一に分布していると、製品の食感や品質に著しいダメージを与えます。一方で、急速に冷凍すると、多数の細かいサイズの氷の結晶が細胞の外側と内側に均等に分布するため、食感の損傷が最小限に抑えられ、食品の品質パラメータが維持されることが分かっています。

そのため、急速に凍結して結晶サイズと分布をコントロールするための冷凍技術が研究されています。

最近の新しい冷凍技術として以下の5つが挙げられます。

高圧冷凍法では、210MPaもの高い圧力をかけることで水の凝固点を下げ、過冷却度を高めます。過冷却度が上がるごとに核生成速度も増加するため、急速に結晶が生成し、分布やサイズも均一になります。

パワー超音波 (20 ~ 100 kHz) は、核の形成を促進し、氷の結晶の分布とサイズを制御するため、冷凍中に食品の微細構造を保存するのに効果的な技術であることが確認されています。

液体の高速ジェット (最大 50 m/s) を固体食品材料の表面に向けます。
その結果、より乱流の流体媒体が製品表面を取り囲み、これが対流熱伝達係数を増加させる原因となります。このようなシステムは、従来のエアブラストシステムと比較した場合、より効率的な熱伝達及びより高い凍結速度を特徴としています。

水分子の反磁性の性質と外部磁場の適用により、水分子の中に磁気双極子モーメントが誘導されます。磁場の水素結合強化効果により、水の表面張力、導電率、光吸収率、熱容量などの物理的特性が変化する可能性について研究されています。

一定の体積で圧力と温度のみを変化させて凍結するプロセスです。高圧技術の特殊な形式とみなされることもあります。

これらは現在研究が進められている新しい技術です。
今後高品質な冷凍野菜を流通させるためには、更なるパラメータの最適化及びエネルギーやコストの削減にも重点をおいた研究が望まれます。


Yashmita G et al.,Recent developments in freezing of fruits and vegetables: Striving for controlled ice nucleation and crystallization with enhanced freezing rates. Journal of Food Science, 2023, doi.org/10.1111/1750-3841.16810.

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