世界の野菜摂取量と供給量と推奨値の比較【体系的レビュー】
制限なく海外旅行ができる日々が戻ってきましたね。
世界には196以上の国がありますが、みなさんはどの国に行ってみたいですか? 本場で食べる食事も、旅行の1つの楽しみですよね。
さて世界では、どのくらいの野菜が食べられているでしょうか?
世界保健機関 (WHO) および食糧農業機関 (FAO) のガイドライン (2003 年) によると、野菜と果物の1日あたりの摂取推奨量は400 g以上とされています。
野菜や果物は、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、肥満、慢性炎症、高血圧、高コレステロールなどへの効果が期待できるものです。
一方で、ほとんどの国では野菜摂取が不十分であると考えられています。
今回紹介するのは、世界中の18 歳以上の成人集団の野菜摂取量(162か国)および供給量(162か国のうち136か国)を体系的にレビューし、野菜摂取に関する現状と課題を整理したものです。
世界保健機関 (WHO) および食糧農業機関 (FAO)で推奨されている野菜と果物で400g/日以上のうち、60%を野菜から摂取する推奨量と仮定しました。
研究結果によると、世界の野菜摂取平均量は 186 g/日、供給平均量は431g/日でした。
野菜摂取量を世界の大陸地域別にみると、日本を含む東アジアが349g/日と最も多く、中央アメリカが56g/日と最も少ないことが分かりました。調査した162か国のうち88%の国では、野菜摂取量が推奨値を下回っていました。供給量は、136か国のうち61%の国では野菜供給量が少なく、推奨値240g/日を満たすことができませんでした。
以上の結果より、世界の野菜供給量は十分であるにもかかわらず、野菜摂取量が少ないということが分かります。その要因には、安全な野菜を入手するための流通と価格、さらには野菜の健康利点について消費者への教育に課題があると考えられています。
<所感>
近年の「国民健康・栄養調査」によると、日本では、野菜の摂取目標量は350gに対し、野菜の摂取量は成人男性が約280g~300g、成人女性で約270g~290gで推移しています。
世界の野菜摂取状況から考えると、野菜の摂取量を増やすためには、無駄なく食べることも大切ですね。
Kalmpourtzidou A et al., Global Vegetable Intake and Supply Compared to Recommendations: A Systematic Review. Nutrients. 2020, 27;12(6):1558.