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野菜の保存性を改善する光照射の可能性

野菜の保存性を改善する光照射の可能性

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野菜は「生鮮食品」と呼ばれるように、鮮度が高い方が美味しくて栄養価が高いことが多いです。

そのため、収穫後すぐの新鮮な野菜を食べたいものですが、難しいこともあります。重要なのは、収穫後の流通段階や消費者が購入した後、食べるまでの保存時に、品質を出来る限り劣化させないことです。

収穫後の野菜の品質が劣化する原因として、保存中に呼吸や蒸散により栄養素や水分の損失が発生することと、付着した微生物が増殖して変敗することがあげられます。

それらを防ぐ方法として、低温下での保存やガス組成の制御による保存や、静菌・殺菌効果のある物質の使用などが実用化されています。

今回は、食品への応用研究が進んできている「光照射」という方法について紹介します。

野菜 光照射

野菜や果物は、劣化・変敗しやすい食品です。
劣化や変敗が進行すると、外観の変化や栄養の質の低下を引き起こすだけでなく、食品としての価値を失い、廃棄されることにつながります。

そこで、劣化や変敗を防ぐために、物理的・化学的・生物学的な様々な方法が実用化されています。
これら伝統的な保存技術と比較して、光照射による保存は、安全で効率的かつ環境に優しい技術と考えられて研究が進められています。

光照射による保存性の研究には、主に発光ダイオード(LED)、紫外線(UV)、蛍光(FL)、パルス光(PL)の4 つの照射技術が用いられています。

光照射による保存性向上のメカニズムは

・収穫後も光合成を継続することができ呼吸による栄養素の損失を防ぐこと
・野菜の熟成を促進するエチレンガス放出の阻害
・野菜の表面に付着している微生物の殺菌
・機能性を持った栄養素が増える事により品質劣化が抑制されること

などを単独、または複合的に作用することで効果を発揮すると考えられています。

光照射は化学物質を使用しないため、従来の保存技術と比較して優れている点は

・野菜中に残留せず摂取リスクが減ること
・化学物質を使用せず照射時のエネルギー消費量が少ないこと
・環境への負荷が低いこと

が挙げられます。

一方で、欠点としては

・光照射に弱い種類の野菜が存在すること
・野菜ごとに照射線量や強度の制御が必要であること
・安全性についての蓄積が少なく消費者にまだ受け入れられていない技術であること

が挙げられます。

今後は、光が果物や野菜に与える悪影響についても研究を進め、過剰な加工を避ける条件などを見つけることや、実用に耐える規模での照射条件を検討し産業化を進める必要があります。

野菜 光照射

光照射による保存技術は、現時点ではまだ研究段階にありますが、多くの可能性を秘めているのです。

Jianhua Yao et al.,Recent advances in light irradiation for improving the preservation of fruits and vegetables: A review, Food Bioscience,Volume 56, December 2023, 103206

https://doi.org/10.1016/j.fbio.2023.103206

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