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アブラナ科野菜摂取は肺がん発症リスクを低下させる

アブラナ科野菜摂取と肺がん発症リスク低下について

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肺がんの罹患数は年々増えており、特に60歳を過ぎると急激に増加します。亡くなる方も多く、男性ではがん部位別死亡数の第1位、女性でも第2位となっています。

肺がん患者の喫煙率は、男性で約55%、女性で約16%となっており、男女とも肺がんでない方よりも高い喫煙率であることがわかっています。

アブラナ科野菜は、DNAを損傷させる発がん物質の排出を高める働きが報告されているイソチオシアネートを多く含んでいます。

この研究では、日本人におけるアブラナ科野菜摂取状況と肺がんの罹患リスクの関連について喫煙状況別に調べたものです。

1990年と1993年に沖縄~東北地方の10箇所に住んでいた当時45~74歳の82,330人(男性38,663人・女性43,667人)に対して、食物摂取頻度質問票(FFQ)を用いて調査を行い、アブラナ科野菜摂取量を推定しました。
その後、摂取量を基に4つのグループに分け平成24年(2012年)までの追跡調査結果から解析を行いました。

その結果、3年以内に肺がんを罹患した人を除き1499人(男性1087人・女性412人)が肺がんと診断されました。

男性では、アブラナ科の野菜摂取量が最も低いグループと最も高いグループで、肺がん罹患リスクに差は見られませんでした。
しかし、非喫煙者に限定すると、アブラナ科野菜の摂取量が多いグループは肺がん罹患リスクが低下していました。これは過去に喫煙を経験した人でも同様でした。

また、アブラナ科野菜の種類別に見てみると、キャベツの摂取量が多い男性では、肺がん罹患リスクは低下していました(ほかのアブラナ科野菜では関連は無し)。
一方、女性では全体でも喫煙状況別にみても、アブラナ科野菜摂取と肺がん罹患リスクとの間に関連はみられませんでした。

今回喫煙者で関連が無かった理由としては、喫煙の負の影響が強すぎることが考えられます。
従って、男性は肺がんを防ぐために、速やかに禁煙し、アブラナ科野菜(特にキャベツ)をたくさん食べる事をお薦めします。

【出典】
Nagisa Mori et al., Cruciferous Vegetable Intake Is Inversely Associated with Lung Cancer Risk among Current Nonsmoking Men in the Japan Public Health Center (JPHC) Study ,  The Journal of Nutrition, 2017,Volume 147,Issue 5,Pages 841–849

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