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野菜摂取は胃がんの発生を抑制するのか?

野菜摂取と胃がん発症リスク低下について

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胃がんは、日本人のがん罹患数で第3位、死亡数でも第3位(2019年)です。

この研究では、1990年に日本の4つの地域(岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県石川)に住む当時40~59歳の男女計約40000人の方に食事内容についてアンケートを実施し、その後10年間追跡調査を行ってがんの発症について確認しました。

その結果、合計404例の胃がん患者が確認されました。

アンケートには、食品の摂取頻度調査が含まれており、野菜(「ほうれん草などの緑色の葉野菜」、「にんじん、かぼちゃなどの黄色の野菜」、「白菜,キャベツ,大根、トマトのような緑黄色以外の野菜」、「漬物」)の4項目について、摂取頻度を「週に1日未満」、「週に1〜2日」、「週に3〜4日」、「ほぼ毎日」の4つに分けて調査しました。
また同様に(野菜・果物)ジュースについても調査を行いました。

野菜の摂取頻度と胃がんの発症について確認したところ、緑色の野菜、黄色の野菜、緑黄色以外の野菜の摂取が「週に1〜2日」以上あると、「週に1日未満」と比較して、交絡因子調整後の相対リスクが 0.44~0.78に低下していました(黄色の野菜のみ統計的有意差あり)。

一方で、漬物と(野菜・果物)ジュースについては、摂取頻度と胃がん発症について関連性は認められませんでした。

以上の結果より、野菜の摂取は種類に関係なく、少量であっても胃がんの発症に抑制的に働く可能性が示されました。

なおこの研究では、摂取頻度については調べていますが、摂取量や栄養素については調査されていません。

【出典】

Minatsu Kobayashi et al., Vegetables, fruit and risk of gastric cancer in Japan: A 10-year follow-up of the JPHC study Cohort I,International Journal of Cancer,2002,Volume102, Issue1,Pages 39-44

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