タネをまかない!?じゃがいも・にんにくの面白い育て方

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キッチンで保存していたじゃがいもやにんにくから芽が出てしまい、「これって土に植えたらまた生えてくるのかな?」と思ったことはありませんか?

その直感、大正解です!

私たちが日常的に食べている野菜の中には、ピーマンやなすのようにタネから育つ野菜がある一方で、「タネを一切使わずに育てる」という野菜も存在します。

タネを使わないとはどういうことなのか、どうやって増えているのか。
日常のふとした疑問を、植物科学の視点から紐解いていきましょう。

種芋から育てる「じゃがいも」

【タネの代わりに使うもの】

じゃがいもは、タネではなく「種芋(たねいも)」と呼ばれる、栽培用に管理された芋そのものを土に植えて育てます。

春や秋に種芋を植え付けると、芋のくぼみ部分から新しい芽が伸びます。そして、地下の茎が大きく膨らんで新しいじゃがいもがたくさん実ります。

【なぜタネ植えではないのか?】

実はじゃがいもは、花が咲いた後にトマトに似た小さな実をつけ、その中にタネを作ります。しかし、農家や家庭菜園でタネから育てることは基本的にありません。その理由は、品質を一定にするためです。

タネから育てると親とは異なる性質を持った個体が生まれてしまい、味や形、収穫時期が揃わなくなってしまいます。

一方、芋そのものから育てる方法は「栄養繁殖」と呼ばれ、親の遺伝子を100%引き継ぐクローンを作る方法です。
男爵なら男爵、メークインならメークインのおいしさや形をそのまま維持して一斉に作ることができるため、安定した栽培が可能になります。

【家庭で育てることはできる?】
プランターや土袋を使えば家庭でも手軽に育てることができます。ただし、安全に美味しく楽しむために必ず守るべき重要なポイントがあります。

・栽培には必ず「市販の種芋」を使用する
スーパーで買った食用のじゃがいもをそのまま土に植えるのは避けましょう。食用のものはウイルスなどの病原菌を持っている可能性があり、畑や土全体に病気が広がってしまうリスクがあります。必ず園芸店等で販売されている検査済みの栽培専用の種芋を購入してください。

・「緑色の部分」や「小さな未熟な芋」は食べない
じゃがいもの芽や、日光に当たって緑色になった皮の部分には、ソラニンやチャコニンという天然の有害物質が含まれています。

また、家庭菜園で収穫された極小の未熟な芋にも、これらの毒素が多く含まれることがあります。家庭で収穫したものを食べる際は、芽や緑の皮を深めに取り除き、未熟で小さい芋はもったいなくても食べないことを徹底しましょう。

種球から育てる「にんにく」

【タネの代わりに使うもの】

にんにくは、私たちが普段料理で使っている一片から育てます。

とはいえ、スーパーで売っているにんにくをそのまま使うのではなく、栽培用に管理された「種球(たねだま)」を使用します。秋に一片を土に植えると、地下で球が大きく分かれて成長し、一個の立派なにんにくへと育ちます。

【なぜタネ植えではないのか?】

にんにくの栽培にタネを使わないのは、そもそもタネができないからです。

現在栽培されているにんにくの多くは、花は咲いても種子を作る能力を持たない「不稔性(ふねんせい)」という性質をもっています。そのため、タネから増やすという選択肢自体が存在せず、一片を植えて増やすしか方法がないのです。

【家庭で育てることはできる?】

にんにくは、プランターを使って省スペースで育てることができます。

秋の9月〜10月頃に植え付け、翌年の初夏にあたる5月〜6月頃に収穫する長期間の栽培になります。管理の手間は比較的少なく、初心者にもおすすめです。

種球の外皮を一片ずつバラし、とがった方を上にして土に植え付けます。じゃがいもと同様に、病害虫を防ぎ大きなにんにくを収穫するためには、管理された栽培用の種球を使用するのが確実です。

また、栽培途中に伸びてくる「にんにくの芽」を摘み取ると、地下の球根に栄養が行き渡りやすくなります。

じゃがいもやにんにくは、植物自身が持つ「体の一部から新しい個体を再生する力」を巧みに利用して栽培されています。

「タネをまく」という固定観念を捨てて、芋や一片の球根から力強く芽吹く姿を観察してみると、野菜が持つ生き物としてのたくましさや、先人たちの農業の工夫がより身近に感じられるはずです。

【参考文献】
サカタのタネ「初心者向け!ジャガイモの栽培方法・育て方のコツ│コラム」
https://sakata-tsushin.com/yomimono/tokushu/detail_904
サカタのタネ「初心者向け!ニンニクの栽培方法・育て方のコツ│コラム」
https://sakata-tsushin.com/yomimono/tokushu/detail_912

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