食育って子どものためだけ?忙しい大人のための「無理のない」野菜の摂り方
「食育」と聞くと、学校の給食や子ども向けの料理教室をイメージされる方が多いかもしれません。
実は、日本には2005年に制定された「食育基本法」という法律があります。この法律では、すべての人が生涯にわたって健康で豊かに過ごせるよう、国全体で食育を進めることが定められています。
つまり食育とは、子どもたちのためだけのものではなく、私たち大人にとっても日々の暮らしや健康を守るための大切な指針なのです。
職場や大学も舞台に!「大人の食育」が本格スタート
食育基本法に基づき、国は5年ごとに「食育推進基本計画」という具体的な目標を見直しています。2026年6月に公表された「第5次計画」では、新たに「大人の食育」の本格始動が大きな柱として掲げられました。
これまで家庭や学校が中心だった食育の舞台を「職場」や「大学」などにも広げ、現役世代の食生活を国や企業が一体となって支えていく方針です。
この背景には、忙しい毎日の中で「ひとりで食べる食事(孤食)」が増えたり、朝食を抜いてしまったりといった、大人の生活リズムの乱れがあります。これからの社会を支える世代の健康をどのように守り、無理のない食習慣を作っていくかが、とても重要な課題となっているのです。

野菜・果物が不足するリアルな理由
では、実際の私たちの食生活はどうでしょうか。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をほぼ毎日とっている人の割合は全体で52.8%。年齢別に見ると、男女ともに20代が最も低いという結果が出ています。
健康の土台となる野菜や果物の摂取量も、国の目標値には届いていないのが現状です。
国の「食育に関する意識調査」によると、日頃から健康な食生活を「心掛けている」と答えた人は約75%。一方で、バランスの良い食事を「ほぼ毎日実践できている」人は約36%にとどまり、意識と実践の間に大きなギャップがあることが分かっています。

また、食事が揃わないときに最も不足しがちなのが、野菜や果物などの「副菜」です。副菜を増やすために必要な条件には、多くの人が「手間がかからないこと」や「食費がかからないこと」を挙げています。
忙しい毎日の中で、価格が変動しやすく日持ちしにくい野菜や果物を買い揃えることや、皮むき・加熱などの下処理の手間が、想像以上に大きなハードルになっています。


無理なくハードルを下げる!今日からできる「プチ工夫」
目標の数字を一気に達成しようと、無理をする必要はありません。大切なのは、日々の食事の中でいかに手間を省き、ハードルを下げて継続するかです。
新しい食育計画でも、外食や市販のお惣菜やお弁当を賢く利用しながらバランスを調えることが勧められています。
今日からできる具体的な工夫をご紹介します!
- お惣菜をプラス一品
コンビニやスーパーでお弁当を買う際、カップのサラダや総菜などの小鉢をひとつ追加してみる。 - 冷凍食材・カット野菜の活用
包丁を使いたくない日は、冷凍のブロッコリーや袋入りのカット野菜をサラダにする、お味噌汁やスープにそのまま入れてみる。 - 手間のいらない野菜・果物を選ぶ
皮をむく必要のないバナナやみかん、洗うだけで食べられるミニトマトを選んで食卓に出してみる。

健康な身体は、毎日の小さな選択の積み重ねで作られます。
まずは、いつもの食事に「小さな一皿」や「ひとくちの果物」を添えることから、気楽に始めてみてはいかがでしょうか。
出典
・「第5次食育推進基本計画」(農林水産省、2026年6月公表)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-36.pdf
・「第5次食育推進基本計画 概要」(農林水産省、2026年6月公表)
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/hyoji/attach/pdf/260624-4.pdf
・「令和6年 国民健康・栄養調査」(農林水産省、2025年12月公表)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66279.html )
・「食育に関する意識調査報告書」(農林水産省、2026年3月)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/ishiki.html