ケスタファーム 竹内博昭さん

野菜の見た目と味にとことんこだわる!「カラフル野菜」のケスタファーム竹内 博昭さん

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私たち野菜科学研究会は、「健康・栄養」「おいしさ」「機能」など、野菜の魅力を幅広い視野でお伝えし、野菜について知りたい人と、野菜の魅力を伝えたい人との情報交換の場をつくっています。

もっと野菜を身近に感じて欲しいという思いから、野菜に関わる人々にインタビューしていくシリーズの第一弾!

埼玉県深谷市で「カラフル野菜」にこだわり、日々挑戦をされているケスタファームの竹内博昭さんにお話を伺いました。

カラフルにんじんを収穫するケスタファーム竹内博昭さん

自分の代で終わらせるのはもったいない!自然に定まった農業の道

ーー実際に畑を見せていただいて、畑ってこんなに綺麗なんだ!とびっくりしました。こう、ぴしっと整然と並んでいて、野菜たちも気持ちよさそうです。

あ、気がついてくださって嬉しいです。そうなんです、「圃場(ほじょう)」を綺麗に管理したほうが手入れがしやすいし、光も効率的に当たるんです。こだわりポイントです!


ーーそうだったんですね…!竹内さんは、いつから農業に携わるようになったのですか?

実家が農家だったので、小さい頃から農業をしている親を見て育ってきました。どこかで、「自分もいつか農業をするのかな」と考えていた気がします。小学生の時は、文集とかに「医者になりたい」と書いていたこともありますが、せっかく祖父の代から続いてきた農業を終わりにするのはもったいないなと思い、農業の道に進みました。

実家では、ビニールハウスなどを使わず、屋外で栽培する「露地栽培」という方法で、ねぎやかぶ、にんじん、ほうれん草などを栽培していました。
大学を卒業した後、1年間新潟の有機栽培の法人に勤めました。その後、山梨で4年間なすとトマトについて勉強し、それから家業を継ぎました。今、就農してから8年目ですかね。

ーーしっかり勉強されたんですね。大学でも農業について学んでいらっしゃったのですか?


いえ、大学では農業経済を専攻していました。 家が農家だったので、大学では経済を専攻して売り方、売り先といったことを勉強しようと思ったんですよね。卒業後はすぐに家に帰るつもりだったんですが、大学の研究室の先生が新潟で農場をやっているというので、一年間行ってみようと。そこで有機栽培を学びました。

有機栽培は除草剤や農薬を使わないで育てるので、とても手がかかります。虫食いがあったり、形が揃っていなかったりするのですが、価格は比較的高くなります。やっぱり消費者は価格が高いというところに目が行ってしまうので、良さを理解してもらうのが難しく、厳しいなあと実感しました。

ヤサイビト・ケスタファーム竹内博昭さん

価格勝負はしたくない。だから、自分はわかりやすい「野菜の見た目」に目を向けてみようと思ったんです。とにかく見た目が綺麗な野菜をつくろうと思い、山梨で施設栽培の勉強をしました。

価格ではなく、見た目と味で勝負したい!「カラフル野菜」との出会い

ーー「野菜の見た目」に着目されたと。まずは、どんな野菜の見た目にこだわることにされたのか、気になります。

僕は、トマトが大好きなんです! だから、山梨ではトマトについても勉強したのですが、実家は露地栽培で、トマトを栽培する機会がなくて。ずっと育てたいと思っていたところ、3年ほど前にビニールハウスをつくって、トマトを栽培することになったんです。大玉、中玉、ミニなど、トマトにも色々種類があるので、どれにしようかなと悩んでいる時「カラフルミニトマト」に出会い、これにしよう!と決めました。

カラフルミニトマト

ーーカラフルミニトマト! たまにスーパーで見かけますが、いろんな色があってかわいらしいですよね。

野菜を買おうと思った時、価格で比べたり、決めたりする人も多いと思います。でも僕は、価格ではなく、見栄えや味で勝負したかった。そこで、見栄えがよく美味しいもの、かつカラフルなものが良いかなと思いました。

カラフルミニトマトをつくってみて一番嬉しかったのは、子どもたちの反応ですね。「トマトはあまり好きじゃなかったけど、これは美味しかった」という声を聞いて、つくって良かったなと。

ーーそれは嬉しいですね…!それをきっかけに「カラフル野菜」にハマっていかれた、と。

そうですね。実家に帰ってきてからずっと、色々なものを作ってみて…、試行錯誤を繰り返しています。通常の家の仕事もやりながらなので、あまり手をかけずに育てられるものを探したりしていました。ジャガイモは植え付けた後、ある程度手をかけなくても育っていくので、一番楽ですね。カラフルな品種がたくさんあって、今も複数種類をちょっとずつ育てています。

カラフルじゃがいも

例えば、ノーザンルビーは皮も中身もピンク色で、シャドークイーンは皮も中身も紫色。インカのめざめは黄色くて、インカのひとみはピンクのまだら模様です。レッドムーンは赤茶色で、果肉は濃い黄色なんです。
ジャガイモが嫌いという人はあまりいないし、育てやすい。カラフルなジャガイモは、味や食感もバラエティ豊かです。目のつけどころがよかったな、と思っています(笑)

食べるだけじゃない!「カラフル野菜」の可能性

ーーこのカラフルにんじんたち、ものすごく可愛いですよね…!これはどういった経緯で作るようになったんですか?

元々、普通のにんじんをつくっていたのですが、この辺りに、新種の虫が出てきてしまって…。突然、どこかから湧いて出てきて、食べて作物をダメにしてしまったんですよね。元々はねぎにいる虫なのですが、ねぎの場合は剥いてしまえば虫はいなくなるけど、にんじんは剥いて出荷することは出来ないので。この辺りの農家はにんじんの栽培をする人が減り、僕たちも辞めてしまいました。でも、せっかくやってきたからもったいないなと思って、それでカラフルにんじんを育て始めたんです。

ーーカラフルにんじんは、普通のにんじんとどこが違うんですか?

カラフルにんじんの方が収穫するサイクルが早いです。普通のにんじんだと収穫に4〜5ヶ月かかるところ、3〜4ヶ月で収穫できる。カラフルにんじんは細いので、収穫時期を早めることができるんです。そのため、虫の被害にも遭いにくい。
細いまま出荷することもできるし、逆に太く育てたら加工屋さんが喜んでくれるんです。

カラフルにんじん

ーー加工屋さん?

野菜を刻んで出荷したり、お弁当に使ったりするんです。最近、お取引しているのですが、野菜のペーストをペンに加工しているところもあるんです!野菜のペンを使って子どもが食パンなどに絵を書いて食べても大丈夫で、そこではカラフルな野菜が喜ばれるんです!

美味しい野菜は、美しい畑から生まれる

ーー「野菜は育てる人によって味が違う 」と聞いたことがあるのですが、実際、変わるものなのですか?

あると思いますね。僕は、美味しい野菜というのは美しい畑からできると考えています。先ほど気づいていただけましたが、通路が確保されていて、人がちゃんと動ける状態の畑には隅々まで目が届き野菜の状態がよくわかる。気配りのできる圃場から美味しい野菜ができる。

整然と植えられた深谷ねぎ

今年は天候が良かったから美味しくできたとか、天候が悪かったから美味しくないというのは、ちょっと違うかなと。どんな天候であっても、一定の品質で作物をつくることが出来ないと、美味しいものはつくれないと思いますね。

ーー農家さんとしてのプロ意識がかっこいいです…! そういったお考えは、元々持たれていたんですか?

これまで出会った人の影響ですね。特に親の仕事姿を見ていたのが大きく、仕事一つ一つ丁寧で、草が生えている状態が好きではないので、少しでもあると対処していました。山梨で働いた法人でもすごく細やかで、苗がビシッときれいに定植されているなど、良い影響を受けたと思います。普段の生活は大雑把なんですけど、畑は綺麗にしています(笑)。

ーーいい野菜をつくるには、まずはいい畑をつくるところからなんですね! ちなみに、野菜嫌いなお子さんも多いと思いますが、野菜を育てる農家さんとしてアドバイスはありますか?

野菜が苦手なお子さんには、ぜひ農家さんのところへ行ってみて欲しいですね。やっぱり、野菜は採れたてが美味しいんです。例えばとうもろこしは、収穫した日であれば生で食べられます。実際に農業体験をしてみて、食べてみようと思ってもらえたら嬉しいですね。

今後、僕たちももっと体験的なことをやっていきたいと思っているんです。野菜は食べる以外にも、楽しむ方法があるので。

ーー確かに!収穫するにも食べるにも、「カラフル野菜」だと楽しさも増しそうですね!

カラフル野菜が、野菜を楽しむきっかけになったら嬉しいです。「カラフル野菜といえば」で、僕たち「ケスタファーム」のことを思い出してもらえるようになりたいですね。つくるのはもちろん簡単ではないですし、手間もかかりますが、それが楽しいので。

ケスタファーム竹内さん

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