いちごがもたらす健康効果の最前線:最新研究が紐解く3つのチカラ
米国農務省(USDA)の食事ガイドラインでは、慢性疾患のリスクを減らして健康を維持するために、一日1〜2カップの果物を食べることがすすめられています。
その中でも、世界中で親しまれている「いちご」は、気軽に食べられて健康効果が見込める優れた食材です。1カップで一日に必要なビタミンCの108%、葉酸(ようさん)の10%、さらに体に必要な様々なミネラルも含まれています。
また、アントシアニンやエラグ酸といった植物由来成分の優れた供給源としても、学術的に高い注目を集めています。
これまでに行われた多くの研究や実験から、いちごの摂取が私たちの体にもたらす具体的な健康効果が分かってきました。
最新のデータをもとに、3つの健康効果を詳しく見ていきましょう。
※いちご1カップの量
米国農務省(USDA)の基準では、いちごの場合、丸ごとなら約144g、スライスした果実だと約166gが1カップとされています。

心血管・代謝機能の改善と血管の保護
いちごの摂取は、心臓や血管、代謝など、私たちの健康に非常に良い影響を与えることが報告されています。
・コレステロール値の低下
フリーズドライのいちごパウダー(生のいちごに換算すると約320〜500g相当)を継続摂取した複数の臨床試験において、体内の悪玉コレステロールや総コレステロールの値の有意な低下が確認された。
・食後のダメージを穏やかに
脂質や糖質の多い食事を摂取した後に起こる、体内の酸化ストレス(酸素の一部が変化し身体の細胞がサビつくようなダメージ)や、炎症マーカー(IL-6【インターロイキン-6】やhs-CRP【高感度CRP】など)の上昇を穏やかにする効果が示唆された。
・血管を若々しくキープ
血圧が高めの閉経後女性を対象とした研究では、いちごの摂取が収縮期血圧を低下させ、血管がよりしなやかになる(動脈硬化が改善する)など、血管を若々しく健康に保ってくれる可能性も報告された。

脳の健康維持と認知機能の向上
最新の研究では、いちごが「脳の健康」を長期的に守ることにも寄与すると分かってきました。
高齢者975人を対象に、約7年間にわたって追跡調査したデータでは、いちごを週に1回以上食べるグループは、ほとんど食べないグループに比べて、アルツハイマー病の発症リスクが低下していました。
これは、いちごに豊富に含まれるペラルゴニジンやビタミンCが、脳内のアミロイドβの蓄積やタウタンパク質の異常を抑制し、神経を守る役割を担っているのではないかと考えられています。
また、高齢者を対象とした90日間の臨床試験では、いちごの摂取によって言葉の認識(単語の記憶)や空間学習能力、記憶力が摂取前と比べて有意に向上したという報告もあります。

腸内環境の改善と代謝の促進
いちごの健康効果の鍵を握るのが、消化管に存在する「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」との相互作用です。
いちごに含まれるエラグ酸などの成分は、そのままでは吸収されにくいですが、腸内細菌のバランスによっては「ウロリチン」という抗酸化・抗炎症作用を持つ代謝物に変換されて体内に吸収されます。
基礎研究において、ウロリチンは細胞を酸化ストレスから保護し、脂質代謝の改善にも働くことが分かっています。
また、いちごに含まれる食物繊維とポリフェノールは、腸内の有益な細菌(ビフィズス菌など)を増やし、全身の代謝維持に不可欠な物質「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」の産生を促すとともに、健康的な体重維持に関連する腸内細菌を増加させる効果も期待されています。

日常の食生活にいちごを取り入れることは、美味しさを楽しむだけでなく、心臓、脳、そして腸内環境を健やかに保つための手軽で強力なアプローチとなります。
臨床試験では、一度に大量(生換算300g以上)のいちごを摂取するケースが多いですが、日常的な1〜2カップのいちご摂取継続でも長期的な健康維持が期待されます。
健康的なライフスタイルの一環として、毎日の食卓にいちごをプラスしてみてはいかがでしょうか。
出典)Charoenwoodhipong, P., Zuelch, M. L., Keen, C. L., Hackman, R. M., & Holt, R. R. (2025). Strawberry (Fragaria x Ananassa) intake on human health and disease outcomes: a comprehensive literature review. Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 65(25), 4884–4914. https://doi.org/10.1080/10408398.2024.2398634