
健康な6~13ヶ月齢乳児における乳児主導型離乳食と従来型離乳食の栄養素摂取量および果物・野菜の提供量の比較:系統的レビューとメタアナリシス
赤ちゃんが自分の手で固形食を食べることを促す離乳の方法を、「乳児主導型離乳食(BLW)」といいます。
BLWは、近年注目を集めていますが、食事行動や栄養への影響については明確な結論が出ていませんでした。
野菜科学研究会では、生後6〜13ヶ月の健康な乳児を対象に、BLWと保護者が食べさせる従来の離乳食(PLW)を比べ、どちらの方が栄養をよくとれているか、また果物や野菜をどれくらい与えられているかを調べた論文を紹介します。

研究では、BLWとPLWを比較したシステマティックレビューとメタ分析を実施しました。
システマティックレビューは、過去の研究を集めてまとめて評価する方法で、メタ分析は、統計的にまとめて分析する方法です。
データの信頼性を判断するために、Cochrane(コクラン)とPRISMA(プリズマ)という国際的なガイドラインに基づいて、SRMA(システマティックレビューとメタ分析)と研究の質を評価するGRADEアプローチを行いました。
また、調査の信頼性に影響を与えるバイアス(偏り)がどのくらいあるかを調べるために、Joanna Briggs Instituteのチェックリストを使用しました。
メタ分析では、データの違いを比べやすくする指標の「標準化平均差」と研究ごとの違いを考慮する「ランダム効果モデル」を使って、栄養素の摂取量や果物・野菜の与えられ方を分析しました。

最終的に、6件の研究が分析対象になりました。
生後6〜10ヶ月の乳児において、BLW乳児の方が遊離糖や微量栄養素の摂取量が少ない傾向がありました。しかし、母乳から補われる可能性があると考えられています。
また、BLW乳児はPLWの乳児よりナトリウムを多くとっており、73%も多く野菜が与えられていました。
ただし、実際に食べた野菜の量については、両方のグループで大きな差は確認できていません。
生後9〜13ヶ月の乳児では、BLWとPLWの間で栄養の摂取量に大きな違いはありませんでした。
月齢が上がるにつれて食べられる食材が増え、離乳食による栄養摂取量の差が小さくなるからではないかと考えられてます。
ただし、一部の分析では、BLW乳児の方が野菜を多く食べている傾向もありました。
野菜は子どもが苦手としやすい食材ですが、BLWを取り入れることで、家庭の食卓に野菜を出すきっかけになり、将来的に子どもの野菜摂取量を増やす方法として効果があるかもしれないと、考えられています。
これまでの研究結果から、BLWによる乳児の栄養バランスの悪化は断定しきれないと考えられます。ただし、BLWの定義にバラつきがあるため確実性は低く、明確な結論を出すにはまだ不十分です。
今後、より正確な結果を得るには、さらなる研究が必要です。
引用文献
Guenetxea-Gorostiza J, Rada Fernández de Jáuregui D, Apraiz-Sanchez I, et al. Nutrient intake and fruit and vegetable offering in baby-led weaning compared with parent-led weaning in healthy 6- to 13-month-old infants: A systematic review and meta-analysis. Nutrition. 2025;137:112812. doi:10.1016/j.nut.2025.112812