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最小限の加工で葉物野菜の賞味期限を延長する新技術

最小限の加工で葉物野菜の賞味期限を延長する新技術

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葉物野菜は鮮度が落ちるのが速く、保管に困った経験はありませんか?

根菜類や果菜類と比較すると、賞味期限が短い傾向にあります。
多くの葉物野菜は、乾燥させたり冷凍したりすることが難しいため、冷蔵庫に入れるなどの低温保存に頼る方法に限られてしまいます。

その結果、食べきれずに廃棄されてしまうことも少なくありません。

新鮮で 、栄養価の高い野菜が欲しい。でも、見た目や風味を損なうような処理は極力避けたい。

このような消費者の需要に応えて、品位に大きく関わる微生物数を減らし、酵素反応を遅らせる新しい技術があります。

近年、食品ロス削減と健康志向の高まりから、ますます注目されています。

こちらの記事では、最小限の加工で、栄養価を維持しながら葉物野菜の賞味期限を延長する新技術を紹介します。

葉物野菜

①食用コーティング 
食品の表面に薄い層を塗布することで、保存期間を延ばし、品質を維持します。
コーティング剤は、多糖類、たんぱく質、脂質、生理活性化合物から構成されています。
食品コーティングにより、湿気からの保護、ガス交換の調節、機械的保護、微生物から、葉物野菜を保護することができるのです。

②放射線
代表的なものとして、紫外線、ガンマ線があります。
微生物や害虫を不活性化し、塊茎の熟成と発芽を遅らせることで、保存期間を効果的に延長することができます。

③超音波
20kHzから10MHzの周波数の機械音波を用いて、殺菌します。
食品加工における微生物の不活を不活化を実現する、重要な技術です。
また、熱を使わないため、食品の風味や栄養価への影響を最小限に抑えることができます。

④ナノエマルジョン
ナノエマルジョンとは、油と水など、混ざり合わない二つの液体の混合物で、ナノメートル(nm)サイズの微細な液滴として均一に混合したものです。
野菜の洗浄に使用すると、優れた抗菌効果を発揮することが確認されています。

⑤オゾン処理
オゾンには、殺菌作用があります。
しかし、 水中で急速に分解されるため、処理された食品に残留物を残さないという利点があるのです。

⑥コールドプラズマ(低温プラズマ)
プラズマは物質の第四の状態であり、陽イオン、陰イオン、電子、中性子からなるイオン化ガスです。
コールドプラズマは、 野菜の鮮度や栄養的な品質を保ちながら、殺菌効果を発揮します

⑦その他
いくつかの保存技術を組み合わせることで、単独で処理した場合よりも優れた効果を発揮するケースがあります。
例えば、過酸化水素とコールドプラズマの併用は、殺菌・滅菌において非常に効果的な組み合わせとして注目されています。

従来の方法と比較すると、これらのアプローチは、食品の安全性と品質を向上させるだけでなく、持続可能な食品生産への貢献が期待されます。

ただ、大規模な生産現場での実用化にはまだ懸念があります。
それぞれの葉物野菜の性質や、それに伴う微生物によるリスクを慎重に調査し、さらなる研究が必要です。

Riya Goel et al.,Shelf-life extension of green leafy vegetables through minimal processing: Special emphasis on the use of novel techniques, Journal of Agriculture and Food Research,Volume 19, March 2025, 101703, https://doi.org/10.1016/j.jafr.2025.101703

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