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葉物野菜の屋内栽培のための小規模水耕栽培システムの設計

葉物野菜の屋内栽培のための小規模水耕栽培システムの設計

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最近、野菜を屋内で栽培する、いわゆる植物工場が世界各国で増えてきています。

工場で育つ野菜たちの紹介やその特徴について、ヤサイラボがまとめた記事がありますので、ぜひご覧ください!

植物工場のメリットは、次のようなものが挙げられます。

  • 天候や自然災害などの影響を受けずに、安定生産できること
  • 病害虫や伝染病のリスクを大幅に低減出来ること
  • 肥料や農薬の使用量を減らし、環境負荷を抑制できること
  • 大規模な農地が必要無く、都市部での製造が可能なこと

一方で、都市部では用地のコスト負担が大きいことや自動化のためのシステム構築に多額の費用がかかることなどから、販売価格が高めになってしまうデメリットがあります。
しかし、消費地に近い場所で生産することにより、輸送コストを抑え、鮮度の良いものを入手できることから、今後も植物工場のニーズは増えていくと思われます。

この記事で紹介するのは、ブルガリア発のIoT(Internet of Things)を活用した、低コストのハイテク小規模水耕システムについての文献です。

現在、多くの国で経済が発展するにつれ、農村から都市への人の移住が進行しています。近い将来、世界中で 75%以上の人々が都市に住むと推測されています。そのため、野菜生産に関わる労働力の減少が懸念されています。

一方で、高品質で新鮮な野菜を食べたいという都市部の消費者ニーズは高まっています。そのトレードオフを解決するための方法として、屋内での水耕栽培システムがありますが、高価なため一般的に普及はしていません。
この研究の最終目標は、葉物野菜を栽培するための、IoT を活用したハイテク小規模水耕システムを設計することです。

水耕栽培システムは、微気候制御システム、水制御システム、照明システム、加熱システム、換気システム、水ポンプ、栄養タンク、システムコントローラーの各サブシステムから構成されます。
設計されたハードウェアの寸法は、長さ 1,400mm、幅 700mm、高さ 2,000mm で、150Lの養液タンクが付属しています。

工場で育つ野菜


今回の実験では、レタスを用いて行い種子の発芽率を測定しました。照明システムから1日あたり 18時間の光が照射され、栽培中農薬は使用されませんでした。システムの適合性を評価するために水温、電気伝導度、気温、湿度、養液のレベルや消費量、pH、電力消費量を継続的にモニタリング及び分析を実施しました。

結果は、この小規模水耕システムが気温、湿度、養液の pH の設定パラメータをレタスの栽培に最適な範囲内に維持したことが確認できました。
養液の温度や電気伝導率などのパラメータは、必要な最適範囲からわずかに逸脱していましたが、タンクにヒーターを増設する事で解決できるレベルです。

なお、レタス種子の約75%の発芽が達成されました。これは、通常の水耕栽培における発芽率と同等の結果でした。
この水耕システムの主なメリットは、管理と設置が簡単であり、ユーザーの経験に高い要件を必要とせずにリモート監視と制御が可能である点です。

Neiko V. Nikolov et al.,Design of a Small-Scale Hydroponic System for Indoor Farming of Leafy Vegetables, Agriculture 2023, 13(6), 1191; DOI:https://doi.org/10.3390/agriculture13061191

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