野菜摂取で糖尿病患者の血糖コントロールを改善
「野菜の摂取で、糖尿病患者の血糖コントロールが改善する」
その可能性を示した研究についてご紹介します。
世界の糖尿病の有病率は、2000年には 2.8% であり、2030年には 4.4% になると推定されています。
Ⅱ型糖尿病※は、乱れた食生活などが原因で、血糖値をコントロールするホルモンの働きが低下することで発症します。高血糖が続くと、血管や臓器にダメージが蓄積し、合併症を引き起こします。
※Ⅱ型糖尿病:遺伝的要因ではなく、後天的な要因で発症する糖尿病
糖尿病の予防には、野菜を多く含んだ健康的な食生活が大事だといわれています。
野菜の摂取量を増やした健康的な食事に変えることで、血糖コントロールが改善されるのかを調べた研究がインドネシアで行われました。
インドネシアのある電話通信会社に勤める労働者の中から、Ⅱ型糖尿病患者と糖尿病予備軍(HbA1c≧8%)※84名を、ランダムに2つのグループに割り付けました。
※HbA1c(糖化ヘモグロビン):糖尿病の指標となる数値。
■介入グループ(41人)は、野菜の摂取量を増やすように促すセミナーへの参加と、集中的なコーチングを毎週受けました。
■対照グループ(40人)は、インドネシア内分泌学会ガイドラインの従来の食事療法に従いました。
試験開始前と12週間の介入終了時に、血液検査と身体測定を行いました。
その結果、一日当たりの野菜の平均摂取量は、介入グループでは787g、対照グループでは103gになりました。
介入グループでは、対照グループと比較して、HbA1C、空腹時血糖値、食後血糖値が有意に減少し、血糖コントロールの大幅な改善がみられました。
それだけなく、体重、腹囲、総コレステロールにおいても、介入グループは対照グループと比べて有意に減少しました。
※体重は介入グループで平均3.7kg減少、対照グループで平均2.2kg減少
※腹囲は介入グループで平均3.1㎝減少、対照グループで平均1.1㎝減少
このことから、糖尿病患者において、野菜の摂取を増やすことで血糖コントロールが改善される可能性が示されました。