野菜 研究

食品の栄養価値を評価する仕組み「栄養プロファイリングモデル」とは?

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消費者庁が実施した「令和4年度食品表示に関する消費者意向調査」によると、普段の食生活に栄養成分表示を活用している消費者の割合は、全体の4割程度にとどまっています。

健康的な食生活を実現するためには、栄養成分表示を効果的に活用する取り組みや仕組みが必要です。

この課題を解決する一環として、「栄養プロファイリングモデル」という新たな仕組みが、今注目を集めています

栄養プロファイリングモデルは、食品に含まれる栄養成分などの量を科学的な根拠に基づきスコア化し、消費者への栄養に関する情報提供や、食品関連事業者の健康的な商品の開発に活用することができます。

世界には、387種類の栄養プロファイリングモデルが存在しています。
科学的根拠が豊富なモデルとしては、オーストラリア・ニュージーランドの「Health Star Rating (HSR)」、フランスの「Nutri-Score」、および英国の「UK-NPM」があります。

2024年9月、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所は日本の食文化や栄養課題を踏まえ、公平かつ中立的な立場から「日本版 栄養プロファイルモデル」を開発しました。
このモデルは、加工食品版と料理版の二つに分かれており、論文としても公表されています。

これにより、製品単位の栄養評価だけでなく、食事時の栄養評価も可視化した、包括的なプロファイリングが提案されました。

日本版のプロファイリングモデルの仕組みは、先行している、オーストラリア・ニュージーランドの「Health Star Rating (HSR)」を基本コンセプトにしつつ、日本人の食事摂取基準値等を反映・修正をした独自の内容となっています。

まず、食品の栄養成分を次の2つに分類します。

制限栄養素:エネルギー・飽和脂肪酸・総糖類・ナトリウム
推奨栄養素:fvnl(果実類・野菜類・種実類・豆類・きのこ類・藻類)、たんぱく質、食物繊維


食品に含まれる含有量によってスコアし、スコア分布によって食品を評価します。食品のスコアは、このように計算されます。

最終スコア=制限栄養素ポイント - 推奨栄養素ポイント 

野菜は非感染性疾患(NCDs)のリスクを低減する健康価値や栄養価値から、推奨栄養素(食材)に分類されています。「野菜はどこまで分類されるのか? 」などさまざまな観点から分類される食材も、推奨すべき食材として特定の基準を設けることで分かりやすいかもしれませんね。

開発された二つのモデルでは、日本食品標準成分表(八訂)に収載された668の加工食品と、食事バランスガイドのSV早見表に収載されている105料理が解析対象となりました。

今後、より多くの製品データや料理データを集積することで、日本版栄養プロファイルモデルのさらなる改良が期待されそうです。野菜科学研究会では、引き続き関連する動向に注目していきます!

参考文献
第2回分かりやすい栄養成分表⽰の取組に関する検討会(R6.1.31) 参考資料3https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20240130_08.pdf

Takebayashi, J.; Takimoto, H.; Okada, C.; Tousen, Y.; Ishimi, Y. Development of a Nutrient Profiling Model for Processed Foods in Japan. Nutrients 2024, 16, 3026. https://doi.org/10.3390/nu16173026

Tousen, Y.; Takebayashi, J.; Okada, C.; Suzuki, M.; Yasudomi, A.; Yoshita, K.; Ishimi, Y.; Takimoto, H. Development of a Nutrient Profile Model for Dishes in Japan Version 1.0: A New Step towards Addressing Public Health Nutrition Challenges. Nutrients 2024, 16, 3012. https://doi.org/10.3390/nu16173012

瀧本秀美ら、日本版栄養プロファイリングモデル策定に剥けた基礎的研究 明日の食品産業 2024.11

森田 満樹ら、栄養プロファイリングモデルと放送前面栄養表示ー消費者の活用に向けてー 明日の食品産業 2024.11

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