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ADHDの不注意症状と野菜摂取の関係

ADHDの不注意症状と野菜摂取の関係

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注意欠陥多動性障害(ADHD)の有病率は、世界中の子供の約7%、米国の子供で8~10%、日本でも5~6%の子供で見られる一般的な神経発達障害です。

これは、社会的損失となるだけでなく、入院や怪我のリスクの増加などが懸念されています。

ADHDは不注意、多動性、衝動性が慢性的に続き、感情の調節が出来なくなる特徴があります。
ADHDの病因は、遺伝的、環境的、汚染物質(鉛、農薬、タバコの煙)への暴露、食事要因(脂肪酸組成や、ビタミン・ミネラルの欠乏)等と考えられています。

この研究では、米国・カナダ在住のADHD症状のある6〜12歳の子供134人を対象に、食事の質とADHD症状についてアンケート調査を行い、その関連性を評価しました。

食事内容については、食品摂取頻度質問票(FFQ)を用いて調査しました。
行動の評価については、CASI-5という5〜18歳の若者の感情的および行動的障害を伴う検証済みの行動評価尺度を用いました。
合わせて、強みと難しさの質問票(SDQ)を用いて感情的な調節不全を評価しました。

その結果、食事全体の質とADHD症状については、特に関連は認められませんでした。
しかし、食事内容毎に分析したところ、野菜の摂取量が増加すると不注意症状が低下する事が明らかになりました。
つまり、野菜をあまり食べない子供は、不注意のより深刻な症状を示す可能性があります。

この研究の限界は、調査人数が少ない点、及びある時点の評価であり野菜摂取量と不注意症状の因果関係については不明である点です。

【出典】
Lisa M. Robinette et al., Fruit and vegetable intake is inversely associated with severity of inattention in a pediatric population with ADHD symptoms: the MADDY Study,Nutritional Neuroscience,2022, https://doi.org/10.1080/1028415X.2022.2071805

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