「連作障害」はなぜ起こる?
「連作障害」という言葉を、ご存知ですか?
畑で同じ野菜を続けて栽培すると生育が極端に悪化し、収量が低下したり枯れたりする現象が起きます。この現象を、「連作障害」と呼びます。
私たちの食卓を彩ってくれる、色々な種類の野菜たち。育ててくれている農家さんたちは、さまざまな苦労を乗り越えて美味しい野菜を届けてくれています。
この記事では、「連作障害」の原因や対策について解説していきます。
連作障害の原因と対策
連作障害が起こる原因として、以下のようなことが挙げられています。
- 土壌中の病原菌や害虫が繁殖しやすくなること
- 土壌中の特定の栄養素が枯渇し、野菜が育たなくなってしまうこと
- 前に作った野菜の根から特殊な成分が分泌されて、それが次に植えた野菜に影響すること
では、どのようにして防いだらいいのでしょうか?連作障害を防ぐためには、一般的に以下のような対策が行われます。
・輪作(りんさく): 前に作った野菜と異なる野菜を植えて、連続して同じ野菜を栽培することを避けます。異なる野菜は異なる栄養素を利用するため、土壌中の特定の栄養素が偏ることを防ぎますし、病害虫にも好みの野菜があるので、繁殖を防ぐことができます。
・土壌の改良: 連作によって減少した栄養素を補うために、肥料などを利用して土壌の改良を行います。
・病害虫管理: 病原菌や害虫の増殖を防ぐために、消毒などを実施します。また、病気や害虫に強い品種を選択したり、接木苗(つぎきなえ※)を行うことも有効です。
・休耕: 一定期間、土地を休ませることで土壌中の病原菌や害虫の数を減らします。
※接木苗=苗の一部を切って、そこに別の苗を繋ぎ合わせた苗のこと。連作障害に耐性のある台木に接ぐことで、連作障害に強い苗ができます。
なお、連作障害は全ての野菜で起こるわけではなく、起こりにくい野菜と起こりやすい野菜があります。
起こりにくい野菜にはねぎ、たまねぎ、にんじんなどがあり、起こりやすい野菜にはトマト、なす、じゃがいも、きゅうりなどがあります。
また、輪作をする場合は、野菜の種類ではなく「科」で考える必要があります。別の種類の野菜でも「科」が同じだと、連作障害は防げません。
例えば、トマト・なす・じゃがいも・ピーマンは全然違う野菜のように思えますが、全てナス科なので輪作しても対策になりません。また、輪作のサイクルも1年で良い野菜もありますが、3~4年必要な野菜もあります。
輪作サイクルが長いと、農家さんも次に何を植えるか計画的に考える必要があり、本当に大変ですよね。我々の食卓は、このような農家さんの苦労の上に成り立っています。