虹と畑

「虹色を食べる」”Eat the rainbow”という考え方

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厚生労働省は6月31日、健康増進法に基づき食物摂取量などの目標値を定める「健康日本21」の改定を10年ぶりに公表しました。

2024年度以降の1人1日当たり摂取量として、引き続き、野菜は350グラム
そして、果物は200グラムと事実上2倍に増えました

最近では、野菜摂取量の見える化ができるデバイスも登場してきました。しかし、その一方で、充分な量の野菜と果物を食べようと思っても、なかなか実生活の中での実践が難しいことは、野菜の摂取量が依然として増えていないことからもよくわかります。

野菜たっぷりのバーベキュー

果物や野菜を食事に取り入れるよう消費者に促すためのアプローチのひとつとして、「色で食べる」という概念をご紹介します。

こちらはディアナ・ミニッチ(Deanna Minich)というアメリカの研究者が提唱している概念で、ポイントは、「色とりどりの野菜や果物を中心とした「虹色の食事」が健康をサポートする」ということです。同じ意味の「The Rainbow Diet」というタイトルの書籍も出版しています。

研究題材は、野菜や果物の色素に着目した食事で、栄養素関連の研究レビュー (※1) の中では、抗酸化物質と抗酸化作用について、色素と色別に解説されています。

〇赤色の食べ物:
抗炎症作用、一般的な抗酸化作用、免疫調節をサポート
(ラディッシュ、赤のパプリカ、トマト、りんご、クランベリー、プラム、いちごなど)

〇オレンジ色の食べ物:
脂溶性組織における抗酸化作用、ホルモン調節、排卵や生殖機能などにおける役割
(人参、オレンジのパプリカ、かぼちゃ、あんず、オレンジ、マンゴー、ウコン、など)

〇黄色の食べ物:
抗酸化作用、酵素活動、胃機能の調整、血糖低下、腸内細菌の健康をサポート
(トウモロコシ、生姜、黄のパプリカ、なし、バナナ、レモン、パイナップル、など)

〇緑色の食べ物:
抗酸化作用、血管の健康、健康な血液循環やメチレーションをサポート
(アスパラガス、きゅうり、ピーマン、緑の葉野菜全般、ライム、オリーブ、 緑茶、など)

〇青/紫色の食べ物:
抗酸化作用、認知力、心の健康、神経細胞の健康をサポート
(茄子、紫キャベツ、紫芋、ブルーベリー、いちじく、紫色のぶどう、プルーン、など)

上記のように分類した色の違いは、基本的に種類の異なる抗酸化物質によるものです。

例えば、トマトの赤はリコピン、人参のオレンジはβ-カロテン、ブリーベリーや紫キャベツの青/紫色はアンソシアニンなどから構成されます。

トマトとにんじん

各種の抗酸化物質から得られる効果がそれぞれ異なるため、これらを少しずつ幅広く摂取するのが有効で、理想となるのは、文字どおり「虹色の食事」ということです。

食材選びに悩んだ時や、量をたくさんは食べられないとき、「虹色を食べる」という考え方をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

Color can heal youe life – Deanna Minich, PhD

※1 Minich, D. (2019). ‘A Review of the Science of Colorful, Plant-Based Food and Practical Strategies for “Eating the Rainbow”’, Journal of Nutritional Metabolism. doi: 10.1155/2019/2125070

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