野菜に関する素朴な疑問にプロがお答えします 野菜を冷凍保存することはできますか? ほとんどの野菜が冷凍可能です。冷凍することで、栄養価をほぼ変えずに長く保存できるというメリットもありますので、使い切れない量を予測して早めに冷凍することをおすすめします。ただし、冷凍することで細胞が破壊されて解凍時にドリップが発生し、食感や味が落ちてしまう可能性があります。新鮮なうちに冷凍用保存袋等に入れ、空気をしっかりと抜いて急速冷凍することで、細胞破壊を最小限におさえ、美味しさを損なわずに保存することが可能です。 野菜は加熱せずに生で食べると一番栄養価が高いのですか? 加熱するとビタミンCなどの栄養素が減少したり、茹でると茹で汁中に栄養素が流出することがあります。一方、生(サラダなど)で食べるよりもたくさん食べられるため、結果的に多くの栄養を摂ることが出来る場合もあります。 生でも加熱でも、栄養的な差を特に気にすることなく、その時々の最適な方法で毎食野菜を摂取することを心がけてください。 萎れた野菜を食べても問題ありませんか? 野菜が萎れるのは、保存中に水分が抜けるためです。カビなどの付着や異臭・腐敗がない限りは食べても問題ありませんが、食味が落ち栄養素も減少しています。新鮮なうちに食べるようにしましょう。 野菜は下茹でしてから炒めたほうが美味しいのですか? ほうれんそうなどの葉野菜や山菜類は、下茹ですることでアクやえぐみが抜けて食べやすくなります。また、根菜類などは火の通りが早くなるため、時短にもなります。ただし、下茹ですることで栄養素が流出してしまうものもあるので、下茹でをする場合は短時間で済ませるようにしましょう。 野菜を長持ちさせるには、冷蔵庫で保存するのがいいですか? 一般的には、野菜を低温で保存することで呼吸や蒸散を抑えることができ、より長期間保存が可能になります。ただし、一部の夏野菜(トマト、なす、オクラなど)は低温に弱いため、野菜室保存する場合には新聞紙に包んで冷気を防ぐなどのひと手間をかけると、低温障害が起こりにくくなります。丸ごとのじゃがいも、たまねぎなどは、夏以外は冷暗所保存がおすすめです。さつまいもは、特に低温障害を起こしやすいため長期間保存せずに使い切りましょう。 野菜は切ってから洗うほうがよいですか? 野菜を切ってから洗うと、切り口から栄養素が流出してしまい、栄養価が低下します。洗ってから切るようにしましょう。ほうれんそうなどは、根元に流水をあてながら洗うことが望ましいですが、どうしても泥がおちない場合は、切ってからため水で短時間洗いを。きのこ類は水洗いで風味が落ちてしまいますので、濡れたペーパーで拭く程度にしましょう。 ごぼうが変色することがあるのですが、何故ですか?食べても大丈夫でしょうか? ごぼうが変色するのは、ごぼうに含まれているポリフェノールが酸化するためです。ポリフェノールの種類により、ピンクや緑色になることがありますが、食べても問題ありません。 ポリフェノールには抗酸化作用がありますので、長時間アク抜きすることなく食べてください。 ピーマンの種やキャベツの芯など普段捨てていますが、食べても大丈夫でしょうか? ピーマンの種やわた、キャベツの芯は食物繊維が豊富で、食品ロス削減の観点からも摂取をおすすめします。ピーマンの種やわたには、実よりも多くピラジンが含まれ、キャベツの芯には、カリウム・カルシウムが葉の約2倍含まれています。 ただし、苦味やえぐみが強い場合もありますので、上手に料理に取り入れていきましょう。 だいこんの漬物(たくあん)が黄色いのは、何か着色料を使用しているのでしょうか? だいこんの辛味成分が発酵によって黄色い色素に変わる性質を持っているため、たくあんの製造過程で白いだいこんが黄色くなります。ただし、この黄色い色素はだいこんによって量に差があったり、退色しやすいため色ムラが発生します。そのため、クチナシ色素や他の着色料を使用しているたくあんもあります。 カット野菜は、洗って食べる方が良いのでしょうか? 容器に「洗わずに食べられます」と記載してある場合、消費期限内はそのまま食べられます。カット野菜は、衛生的な工場において、十分に殺菌・洗浄され低温管理のもと配送されています。ご家庭では冷蔵室に保存し、袋を開けたらなるべく早く食べきってください。 なぜ、野菜を1日350g食べることが推奨されているのですか? 厚生労働省「健康日本21(第三次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するための目標値の一つに「野菜類を1日350g以上食べましょう」と掲げられています。 野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、人間の健康に必要な栄養素が豊富に含まれており、不足なく生活するための目安として、350g以上という目標量が定められています。 野菜を350g食べるのは大変なので、野菜ジュースで代用しても問題ありませんか? 野菜ジュースの中には、「1日分の野菜が摂れる」とうたっている商品も販売されています。 しかし、野菜ジュースは生の野菜と比較すると、加工の過程で一部の栄養素が失われてしまいます。また、飲みやすくするため糖類を加えているものもあります。そのため、完全には野菜の代わりになりません。野菜ジュースを販売している各会社も、野菜摂取で足りない分の補助として野菜ジュースを摂取することを勧めています。なお「食事バランスガイド」では、市販されている野菜や果物の100%ジュースについては、半分のグラム重量に換算して計算するよう定めています。 野菜はどんな種類を食べればいいのですか? 野菜には、緑黄色野菜と淡色野菜という分類があります。これはβカロテンの含有量によって決められており、100gあたり600μg以上含む野菜を緑黄色野菜、600μg未満を淡色野菜と呼びます。緑黄色野菜には、かぼちゃ・にんじん・ほうれんそう・小松菜・トマト・にらなどがあります。健康日本21では、緑黄色野菜を120g以上食べることを推奨しています。ただし、緑黄色野菜だけ食べれば良いという訳では無く、栄養バランスを整えるためには、淡色野菜も含めバランスよく食べることが大切です。 野菜は毎日食べないといけないのですか? 食べた物は、体内で消化・代謝されて利用されると排出されます。栄養素を体内にずっと貯めておくことは出来ません。まとめてたくさん食べたり全然食べない日があるよりは、毎日食べることが重要です。 野菜をたくさん食べると太りますか? 野菜は糖質や脂質が少ないため、たくさん食べても太りにくいというメリットがあります。ただし、一部糖質が多い野菜(いも類や果実的野菜など)もあります。また、調理方法によっては、油を多く使用するなどエネルギーが増えることもあるので注意が必要です。 旬の野菜は栄養価が高いのですか? 野菜の旬は、栄養価が高いものが多いと言われています。これは、野菜の成長に適している時期は栄養素を蓄えているからです。 調理方法によって、野菜に含まれる栄養素が失われることはありますか? 一般的には、加熱によりビタミンCなどが減少してしまいます。また、野菜を茹でたり煮込んだりすると栄養素が流出するので、煮汁なども一緒に食べられる料理の方が野菜の栄養素を逃がさず摂ることができます。 カット野菜は栄養価が低いのですか? カット野菜は、製造工程で洗浄されます。しかし、工場の洗浄方法と家庭で行われる洗浄方法で野菜の栄養成分を比較調査した結果、どちらも同程度であることが分かっています。 市販の惣菜や野菜加工品は、栄養価が低いのでしょうか? 市販の総菜や野菜の加工品は、栄養価が落ちていると思われがちですが、そのようなことはありません。ただし、塩分量が多い商品があるため、摂り過ぎに気をつけて購入することをおすすめします。 ベジタリアンの方が健康に良いのでしょうか? 野菜だけを食べていれば、人生健康に過ごせるわけではありません。ベジタリアンやヴィーガンの方が、動物性食品も食べる人より健康で長生きできるというエビデンスはありません。肉・魚・卵・乳製品などもバランスよく食べてこそ健康な生活を送ることが出来ます。 野菜の苦みや匂いが苦手です。美味しく食べる方法はありませんか? 野菜の美味しさは旬や鮮度にもよるので、旬の野菜や新鮮な野菜を選ぶと、より美味しい食事を楽しむことができます。また、マヨネーズやドレッシングなどの調味料を使うことで、苦味や匂いを和らげることもできます。調理方法も工夫することで、苦みや匂いが気にならなくなることがあります。 同じ野菜でも日本産と外国産で味が違うのは何故ですか? 国産野菜と比較して、外国産の野菜は輸送に時間がかかり、その結果、鮮度の低下が避けられません。また、加工して輸入されるものもあるので、生野菜とは風味が異なります。さらに、気候、土壌、肥料、栽培方法などが異なることも影響します。 苦みのある野菜は体に悪くありませんか? 市販されている野菜の苦み成分のほとんどは、体に害があるわけではありません。ただ、健康に良い働きをする苦み成分がある一方で、そうではないものも存在します。例えば、ゴーヤに含まれるモモルディシンや、ウリ科の野菜に多く含まれるクエルシトリンなどは、体に良い働きをすることが示されています。一方、同じくウリ科の植物に含まれるククルビタシン類という苦み成分は、過剰に摂取すると、下痢や嘔吐などの症状が現れてしまうこともあります。 野菜は生で食べるのが一番美味しい食べ方ですか? 野菜を生で食べると、その野菜特有の味や香りを楽しむことができます。一方で、例えばブロッコリーなどは、加熱することで旨味や甘味が引き出され、より美味しくなります。ほうれんそうのように、生のままだとアクやえぐみがあって食べられない野菜もありますので、一概に生が一番美味しいとは言えません。 子供はなぜ野菜が嫌いなのでしょうか? 子供は、本能的に甘味や旨味を好み、酸味・辛味・苦味をあまり好まない傾向があります。ただし、食事の経験を通じて味覚が発達し、以前には嫌いだった食べ物が食べられるようになることも報告されています。 また、人間は新奇な食べ物を避ける傾向がありますが、これは新奇性恐怖とよばれる一種の無条件反応になります。幼児が示す新奇性恐怖のほとんどは、新しい食べ物に対する正常な反応と言えます。大人が食べている様子を見せてあげることで、新しい食べ物に挑戦しようとする気持ちや行動が少しずつ引き起こされます。 冷凍すると美味しくなる野菜はあるのでしょうか? 野菜を冷凍すると、細胞壁が壊れることで解凍時に水分が放出され、味や食感が低下することがあります。しかし、細胞壁が壊れることを利用すれば、味を染み込ませたい調理に使う野菜を美味しく仕上げることができます。例えば、おでんなどの煮物に使う大根は、冷凍したものを使用すると、短時間で味が染み込み、美味しさが向上します。 味覚の種類は何種類あるのでしょうか? 味覚の種類は、①甘味②塩味③酸味④苦味⑤うま味の5種類に大別されます。 甘味、塩味、酸味、苦味は、古くから知られてきた基本的な味覚ですが、うま味は比較的新しい味覚で、1908年に日本人の科学者である池田菊苗によって発見されました。 加齢によって味覚は低下するのでしょうか? 味覚は、加齢によって徐々に低下していきます。その原因としては、以下のようなものが挙げられます。 ・味覚受容体の減少 ・味覚神経の退行 ・唾液分泌の減少 加齢による味覚の低下は、特に60歳以降に顕著になります。 味覚は病気によって変化することがありますか? 味覚は、病気によっても変化することがあります。例えば、 ・口腔内炎 ・歯周病 ・糖尿病 ・肝臓病 ・腎臓病 ・パーキンソン病 ・アルツハイマー病 などの病気で、味覚が変化することが知られています。これらの病気は、味覚受容体や味覚神経に直接的な影響を及ぼしたり、唾液分泌を減少させたりすることで、味覚の変化を引き起こすことがあります。また、抗がん剤などの治療薬の服用によっても、味覚が変わることがあります。 外国産野菜は、農薬を多く使っているイメージがあり心配ですが、大丈夫ですか? 日本に輸入される野菜は、輸入時に国(検疫所)が、監視業務を行っています。検疫所では、食品衛生法の基準に適合する食品であるかどうかを審査しています。輸入後、国内に流通する野菜についても、国産・輸入を問わず、定期的に検査のために必要な量の食品を採取し検査が行われていますし、販売者の自主検査等も行われ、安全性が担保されています。輸入野菜に不安を抱く方もいらっしゃいますが、データを見る限り、国産の方が安全だとする根拠はありません。 野菜をいつも余らせて捨てています。何かいい方法はありませんか? 野菜の購入量と消費量が合っていないと考えられます。丸ごと購入するのではなく1/2、1/4に小分けされたものを購入したり、必要分のカット野菜を購入することで、廃棄ロスを減らすことが出来ます。また、丸ごと購入した場合でも、新鮮なうちに小分けにして冷凍すること、また、丸ごとでもポリ袋に入れて冷蔵することは廃棄ロスを減らす良い方法です。 ヴィーガンになるにはどうしたら良いでしょうか? ヴィーガンは非常に厳格な菜食主義です。肉・魚・卵・乳製品など動物由来のものは一切食べられません。 野菜の消費に関して、SDGs的にどのようなことに気をつければいいですか? 地元で生産された野菜を購入する、必要量以上に購入しない、料理を食べられる量以上に作り過ぎない、カット野菜など野菜の加工食品を賢く利用するなどで廃棄ロスを減らす、などが挙げられます。 どのくらいの野菜が食べられずに捨てられているのでしょうか? 日本国内において、生産された野菜のうち、市場に出回ることなく廃棄される野菜は30%から40%と言われています。 農薬が怖いので、使用しないで生産して欲しいですが難しいのでしょうか? 無農薬で生産する場合、農作物が病害虫や雑草の被害を受けやすくなります。そのため収穫量が減少したり、品質が低下します。また、雑草や虫の防除のため、栽培に莫大な手間や労力がかかるようになります。結果として野菜の値段が跳ね上がりますし、世界中で実施されれば、食糧不足を引き起こすでしょう。 有機栽培や無農薬栽培は、農薬を使用していないのでしょうか? 有機栽培は、簡単に言うと化学的に合成された肥料や農薬に頼らずに、食の安全や環境に配慮した栽培方法を指します。有機栽培を行い「有機農産物」として認められるには、国で定められた基準(有機JAS規格)を満たさなければいけません。一方、無農薬栽培とは、その名の通り栽培期間中にまったく農薬を使わない栽培方法を指します。ただし、そのことを保証したり認定する機関は存在しないため、「無農薬」という表示はできません。同様に、「減農薬」という表示も禁止されています。 このサイトをシェアする