超音波とオゾン処理による野菜の残留農薬の除去方法
野菜を育てるにあたり、農薬の使用は欠かせません。
農薬を全く使用しないで生産しようとすると莫大な手間がかかり、収穫量も減ってしまうので、価格が高くなりすぎて野菜を食べられなくなってしまいます。
しかし、農薬は人体にとっても有害です。そのため、収穫した野菜に農薬が残らないようにする、又は付着した残留農薬を除去することがとても重要です。
こちらの記事でご紹介するのは、野菜から残留農薬を除去する方法としてよく知られている超音波洗浄処理とオゾン処理を組み合わせた場合の残留農薬の除去率を調べた文献です。
このような技術の進歩で、野菜の安全性が高まっているんですね。
人類は、野菜の生産量を増やすために様々な農薬を使用してきました。
しかし、残留農薬への曝露は様々な健康障害を引き起こすため、食品の安全性を確保するために、野菜から残留農薬を除去することは非常に重要です。
残留農薬を除去するには様々な方法がありますが、広く使われている超音波(Ultra Sound=US)洗浄処理、オゾン(O3)処理を組み合わせた場合の残留農薬の除去率について調べました。
この2つの方法はそれぞれ、低コスト、環境負荷が少ない、処理による野菜の品質劣化が少ない事に加え、残留農薬除去率が比較的高い方法です。
実験にはほうれんそうを用い、6種類の農薬(クロルピリホス、ジメトエート、カルボフラン、イソプロカルブ、ジニコナゾール およびジフェノコナゾール)の除去率を調べました。
まず対象の農薬を含む浸漬溶液に、新鮮で農薬が付着していないほうれんそうを浸漬し、乾燥することによってサンプルを調製しました。更に、様々な条件でUS/O 3処理を行って、残留農薬を測定し除去率を算出しました。
結果として、US/O 3処理は、6種類の農薬に対して79.1%~92.2%の範囲の顕著な農薬除去率を達成しました。
これは、US処理単独の場合の除去率 (40.4%~62.4%) や O3処理単独の場合の除去率(32.3%~69.6%)よりも高い結果でした。
また、処理条件としては超音波の周波数が40Hzの場合、オゾン濃度は高い方が効果が高かった。 一方で、ほうれんそう中のクロロフィル含量は約6%減少していました。
以上より、US/O3処理は、全体として野菜から残留農薬を除去するための安全かつ効果的な方法として期待できます。
Laxiang Yang et al.,Removal of six pesticide residues from vegetables by the coupled ultrasonic-ozonation process, Food Control , Volume 155, January 2024, 110109,
https://doi.org/10.1016/j.foodcont.2023.110109